はじめに
補正予算を用いた一刻も早い医療体制の強化を
今後期待がかかるのは、緊急包括支援交付金による医療体制の強化です。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて一部では局地的な医療崩壊が報じられていますが、最も状況が深刻とされる大阪府でも、人口880万人に対して重症者は150人程度です。
緊急事態宣言以降、診療報酬は減少した状況が続き、大部分の病院は通常時より稼働率が落ちています。こうした医療の偏在を解消するためにはコロナ対応に向けた医療従事者、病床確保への追加的な予算の大幅拡充が求められます。
人口当たりベッド数など医療体制の指標が世界トップクラスの日本で、欧米対比で重症者が大幅に少ない中、局地的な医療崩壊によって外出自粛が全国的に呼び掛けられる状況はどう考えてもいびつです。
医療体制の強化がなされない中、都道府県による外出自粛要請を受けて日本の移動指数は直近で低下しています。忘年会や新年会、年末年始の旅行需要にも期待できず、社会的な閉塞感は続きそうです。
すでに社会問題となりつつある失業、廃業、自殺者、家庭内暴力、精神疾患の増加、出生率のさらなる低下が懸念されます。給付金が無い中で家計へのダメージを和らげるには、生活を平常時に近づけるしかありません。
給付金を配らないという決断を下した以上、今回の補正予算を用いた一刻も早い医療体制の強化は、医療業界だけでなく行政の責任と言えます。
※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。