はじめに
米FOMCでは金融緩和姿勢を確認
年内に残された重要イベントとしては、12月15、16日に開催される米FOMCが挙げられます。新型コロナの感染再拡大で米経済の鈍化傾向が強まるなかで、米金融当局が金融政策の方向性にどのような修正を加えるのか(もしくは、加えないのか)が注目されます。
米10年債利回りは、10月はじめの0.6%台から足元の0.9%台に、じわり上昇する傾向を見せています。FRBの積極的な金融緩和姿勢に懐疑的な見方が増えると、市場金利への上昇圧力が高まりかねません。
ファンダメンタルズが十分な回復を遂げていない中での市場金利の上昇は、堅調な株価推移に水を差すことになるかもしれません。米金融当局の景気認識の変化の有無に十分な注意を払う必要があるでしょう。
米ホリデー商戦は試金石?
その他、経済指標の発表では、12月16日の米11月小売売上高が注目されます。ホリデー商戦の途中経過ともいえる今回の結果には、ブラックフライデー前後の小売の動向が反映されます。「ホリデー商戦期の小売動向は堅調」と考える市場参加者に対して、そうではない結果が突き付けられるリスクには気をつけないといけません。
全米小売業協会(NRF)が予想する今ホリデー商戦期における売上の伸びは、前年比3.6%~5.2%増となっています。米商務省によれば、ホリデー商戦に入る前の9月と10月の小売売上は、それぞれ前年同月比でプラス5%台と好調に推移しました。
それゆえに、コロナ下でのホリデー商戦にも高い期待が寄せられています。仮に9月、10月が単なる需要の前倒しであった場合、もしくは新型コロナの感染拡大に伴い、急速に消費マインドが冷え込んだ場合には、株式市場にもネガティブな印象を与えるかもしれません。
サプライズなければ相場は堅調
上で挙げたもの以外での注目イベントとしては、12月14日の米大統領選における選挙人投票があります。しかし、すでに各州の選挙結果が確定し、バイデン氏の勝利は揺るぎそうにないことから、波乱は予想しにくいと言えます。
また、日本や英国でも金融政策会合が予定されていますが、政策変更は特には想定されず、相場への影響は限定的と見ます。株価材料としては、とにかく米FOMCに勝るものはなさそうです。
加えて、米国の追加経済対策の行方は引き続きの関心事となります。年内の取引は約半月を残すものの、参加者は次第に減っていくことが見込まれます。先に掲げたイベントや経済指標の発表で、サプライズが生じない限り、年末に向けての株式相場は安定的に推移しそうです。