はじめに
残業ナシ、ノルマなし、期限ナシ。個人の頑張りに頼ることを徹底的に止めて、それでも10期連続で最高益を達成した上場企業があります。ワークマンです。いったいこの会社では何が起こっているのでしょうか? 前回、前々回に引き続き、ワークマン専務取締役初の著書『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)から抜粋して紹介します。
定価でアマゾンに負けない
天敵アマゾン対応の前提条件として重要なことは、アマゾンと同じ土俵に乗らないことだ。
そのためには、まず難しい課題だが、定価で負けないことである。
たとえば、One to Oneマーケティングに手を出すとコストばかりかかってしまう。
それより自社の強みで勝負する。ワークマンの場合は高機能・低価格製品と全国885の店舗網だ。
PB製品の場合、直接比較はできないが、類似製品であれば、定価で決してアマゾンに負けない。価格が同じならワークマンのほうが高機能だし、同等の機能ならば安い。
作業服でアマゾンができないことは供給保証だ。法人が作業服を一度選ぶと、通常5~10年間、同じモデルを使い続ける。生地が廃版になる恐れもあり、材料や副資材ベンダーの保証も必要だ。これも徹底的にやりきる。
ワークマンの作業服は、アマゾン対策として10年間の供給保証をつけている。
7Lまでの大きな体型や横幅型の体型(柔道体型、ラグビー体型など)用の在庫を保証するのは大変だ。横幅型の体型の人が一人も入社しないこともある。最後にはかなりの廃棄が出る。