はじめに
貯蓄のために無理をしていませんか?
まず、支出の内容をみていきますが、非常に少ないですね。月に5万6,000円の支出というのは驚異的です。一人暮らしで2万円の食費は、自炊も含めて工夫をされていると思います。また住居費が1万5,000円と少ない状態ですが、永続的に可能な状態でしょうか? 特殊な条件下であったり、無理をしていない状態であれば良いと思いますが、貯蓄のために無理をしすぎて「今」という時間の充足が犠牲になっていなければ良いなと思います。
仮想通貨がハイリスクと言われる理由
投資についてですが、2,000万円が仮想通貨というのは値動きの幅が大きく、リスクが高い状態です。2017年のビットコインバブルの際は、1ビットコインが200万円を超えた後、急激に下がり、40万円を切るところまで下落。その後回復と下落を繰り返しながら2020年12月現在では、250万円にまで達しています(2020年12月26日現在)。これは、コロナ禍における財政出動が全世界的に行われており、大量の紙幣が供給されることで通貨安がいたるところで起こっているからです。紙の紙幣の価値が下落し続けると予想した人が、流通量に制限のある仮想通貨を評価して投資をしているのです。
仮想通貨には国際間の送金がほぼ遅延なく、手数料も少ないものがあったり、新規発行数に制限がかかっているので、湯水のように発行されてインフレするということもありません。「それなら、ジャブジャブと各国が発行している紙のお金より価値が安定するのではないか?」と考える流れがあるかなと思います。この発想自体は間違いではないですが、仮想通貨は、ビットコインの後に登場した「アルトコイン」と言われるものも含めて、1000以上存在しており、技術的にすぐれたものにいつか収束していく可能性があります。現在投資している先が、リップルなのかビットコインなのかはわかりませんが、機能やセキュリティに強い仮想通貨が出てきたら一気に売られて他のものに流れてしまうことがあり得るのです。この記事を書いている今から、この記事が掲載されるまでに無価値になってしまう可能性すらあると思います。
資産として持ち続けるには不向き
仮想通貨の可能性を全否定するつもりもありませんし、今後も上がり続ける可能性もあります。一方、全くの無価値になってしまう可能性もあり不確定要素が大きいため、将来の人生を左右する資産として持ち続けることはお勧め出来ません。
今後も仮想通貨の価値が上がる可能性にかけて投機的に持っていたいのなら別ですが、将来安定したインカムゲイン(配当収益)が得られる資産に切り替えて行きたいと考えるのならば売却を急いだほうが良いでしょう。もしくは、一部を残し、一部を現金化させて避難させていくと良いと思います。
先述のとおり仮想通貨で得た利益は雑所得となります。雑所得は総合課税になり、給料と合算して税率が決まるので所得税が高くなりがちです。相談者様もそのことがお分かりですから、「退職して無収入になってから仮想通貨を売れば税金が安くなる」と考えているのだと思います。
まず、リタイアが「3,000万円から資産を4%の配当を得て、税引き後で3%前後の年間90万円を得ていく状態」とすると、仮想通貨を売却してしまえばすぐに達成できます。目標が達成出来る状態であれば先々までずっと待っているのはリスキーだと思いますので、売却を前提に考えて良いと思います。