はじめに

中国は「脱コロナ」の試金石となるか

新型コロナの感染をいち早く収束させ、経済正常化に舵を切った中国は、これからコロナ禍の修復を図るその他主要国にとっての試金石のような存在です。世界経済が冷え込む中にあっても、2020年の中国経済はプラス成長で着地する見通しで、2021年も8%台での成長が見込まれています。

このシナリオ通りの景気回復が実現できるようであれば、投資対象としての中国は、グローバル株式市場を牽引する役割が有力視されます。中国にとっての2021年は、共産党の結党100周年の節目に加えて、第14次5ヵ年計画をスタートさせる重要な年に位置付けられます。

是が非でも新型コロナを克服し、経済を安定成長の軌道に戻したいと考える中国政府からは、様々な政策が展開されるものと予想されます。国を挙げての経済拡張を見越して、中国株への前向きな取り組みを検討すべきかもしれません。

もし、死角があるとしたら、それは中国政府による民間企業への規制強化の動きと言えそうです。最近になって、政府が巨大化する中国ハイテク企業への介入を強める事例が散見されます。それが中国株の競争力を削ぐようなかたちで現実化すれば、その分だけ投資妙味が後退する可能性があります。

日経平均株価は3万円を射程圏内へ

2021年は日本でもアフターコロナの下での業績回復が進むことが想定されます。これまでコロナ禍の中、世界の景気敏感株ゆえに出遅れていた日本株ですが、今後は経済正常化の追い風を受けやすいと考えられます。

2021年から2022年にかけての利益回復の勢い(21年度は40%以上、22年度も10%程度の増益率)は、米国を上回る可能性があります。景気敏感株の業績回復と共に、菅政権が進めるDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関わるIT企業や、EV等のクリーンエネルギー関連企業の成長にも期待が集まると考えられます。

2022年度における日経平均予想EPSを 1,800円と予想し、2021年末の予想PERを過去平均よりやや高い16倍強として計算すると、日経平均株価のターゲットは29,000円(高値30,000円、安値24000円)となります。多くの市場参加者にとって、夢の日経平均株価3万円は十分、射程圏内に入っているように思います。

<文:チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和>

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