はじめに

教育はフランス最大の国家予算

なぜ日仏でこのような支出内容の違いが起きるのかというと、フランスでは家庭における「学校教育費」と「学校外活動費」の負担を減らすため、国家予算の多くを教育に当てているから。2020年度の仏国民教育省の予算は、前年と比較して10億ユーロの527億ユーロ(約6兆7,000億円)増え、教育はフランス最大の国家予算を獲得しました。

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日本の財政予算の内わけは、財務省が公表する「2020年当初予算」のグラフによると「文教及び科学振興」は総額の5.4%です。「令和3年度(2021年度)一般会計概算要求・要望」で省庁ごとの配分を見てみると、新型コロナウイルス対策費が大きく膨らんだこともありますが、最も多くの予算を獲得しているのは厚生労働省(32.9兆円)、次に総務省(16.7兆円)、国土交通省(6兆円)、防衛省(5兆円)と続き、文部科学省は5番目でした。

このように、日本における教育の公的支出はあまり多くはなく、OECD経済協力開発機構が行った2017年の調査結果を見ても、初等教育から高等教育までの公財政支出はGDPの4%。この比率は、OECDの平均を下回っています。

教育の公的支出が比較的少なく、家計に頼る傾向が高いこと、つまり子育てや教育にお金がかかりすぎることは、少子化をまねく原因の一つにもなっています。

教育を万人に無償で開くことは社会の基本

フランスの国による教育への援助は、EU内の隣国と比べても魅力的に映るようです。中学生と高校生の2人子供を持つ親であり、JDD誌で記者を務めるベルトラン・グレコ氏はこう語ります。

「私の友人に、ドイツ人とイタリア人の夫婦がいる。彼らはドイツに暮らしていたが、子供を持つ段になってフランスに移住した。フランスの教育は無償であるばかりでなく、託児施設や学童保育の充実度など、教育をめぐるあらゆる環境がヨーロッパ諸国の中でも恵まれているからだ」(グレコ氏)

筆者もまた、大学生と大学院生の2人の子供を持つ親です。託児所から始まって、フランスの教育制度を体験してきました。その中で、家計負担に頼らない教育制度の充実に、民主主義の基本を感じました。グレコ氏は言います。

「フランス人であれば誰でも、19世紀の政治家ジュール・フェリーが、初等教育の義務化と無償化を実現したことを知っている。教育は、全ての人に開かれ、かつ無償である。これはフランス社会の基本だ」(グレコ氏)

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