はじめに

米長期金利が上昇しても、慌てる必要はない

以前から、株式市場にとっての主要なリスクと指摘してきた米長期金利の上昇ですが、2月最終週には米10年国債利回り(名目金利)が、一時1.6%台まで上昇しました。ただ、今のところは株式市場でそれを憂慮するような雰囲気はありません。

先述のとおり、米金融当局による適切な対処が期待される、というのが一つの理由ですが、名目金利から期待インフレ率を引いた実質金利は未だ低位にある、ということがもう一つの理由です。

実質金利が比較的、低水準を保っているのは、名目金利が上昇すると同時に、期待インフレ率が上昇しているためと解釈されます。米10年国債市場に織り込まれた期待インフレ率は、足元で2%を超えてきており、その結果、実質金利の上昇は抑え込まれているのが現状です。

米国株の予想PERは基本的には実質金利に反比例する傾向にあり、実質金利が上昇すると、予想PERの低下を通じて株価は下落する可能性があります。しかし、それは裏を返せば、実質金利が上昇しない限り、予想PERの大幅な低下は見込まれないということになります。

一口に長期金利の上昇といっても、それがインフレ期待とともに10年国債利回りが切り上がる分には(すなわち、実質金利が急上昇しない限りは)、さほど問題とはならないでしょう。