はじめに

必要な老後資金はいくら?

老後資金の見込みを立てるために、現状の生活費から将来的に不足する金額を出してみましょう。70歳までは働くこととして計算してみましょう。65歳以降のボーナスが分かりませんから、臨時支出用として貯金から100万円使うと見込んで計算します。

収入となる年金受給額が14万円、今の生活費が26万5,000円ですから、毎月12万5,000円を貯金から補てんする暮らしとなります。1年間で150万円が必要な計算です。70歳から90歳までの20年間の生活費としては、なんと3,000万円がなくてはなりません。今の貯金額ではかなり少ないことが分かります。

70歳以降、労働による収入があまり期待できないとすると、年金と貯金が頼りです。そして貯金を長持ちさせるには、毎月かかる生活費を減らすしかありません。できれば今のうちから支出を絞り、余剰金を貯金や投資して将来に備えることが必要です。生活支出を抑えることが、老後に以外と大きく影響してくるのです。

生きる楽しみを削らずに上手に支出を見直して

まずは支出の全体像を把握しましょう。何にいくらを使って暮らしているのか、自分はどういうお金の使い方をするのかが見えてくるはずです。

客観的に毎月の支出を見ると、食費、交通費、娯楽費が多めであると感じます。必ずしも不要な支出とは言えませんが、支出の中身の精査をしてみましょう。

自炊をあまりせず、外食などで食費が増えているのであれば、中食や無理のない自炊なども取り入れつつ、支出を下げる工夫を考えていきましょう。食費だけに1週間の予算をもうけて管理することも効果があると思います。

交通費は趣味などにより高くなっているのでしょうか。ここを下げるにはかなりの苦痛と我慢が必要だ、というのであれば無理をすることはありませんが、できれば必要な部分となくてもよい部分を切り離し、支出をカットしていくことを検討しましょう。

支出を1万円減らせれば、1年間に必要な老後資金を12万円減らせます。生きる楽しみまで削ることはありませんが、なくてもよいものはカットしていくように検討をしてみましょう。生命保険の保障内容や通信費なども、見直しすると削減できるかもしれません。

年金 月11万でも足りる夫婦もいれば、30万で足りなくなる夫婦も

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」によると、60代で無貯金の方は約30%もいらっしゃるそうです。ご相談者は無貯金というわけではありませんが、老後資金のない方・少ない方はやはり、年金を頼りに生きていくしかありません。

年金の受給額が生活費に足りるかどうかは、現役時の働き方や老後の暮らし方により異なります。なかにはご夫婦で国民年金を受給し、月の年金収入は手取り11万円ほどなのに、田舎暮らしで基本的に生活費があまりかからないうえ、趣味の農作物づくりやご近所づきあいによる食べ物等の物々交換で、十分暮らせているという方もいます。一方で年金はご夫婦で30万円近くも受給し、住宅ローンも終わっているのに毎月40万円もの生活費がかかり、老後資金を早期に食いつぶしいそうだという方もいます。

要するに、老後どう暮らすかで必要な生活費が異なるのです。万人に田舎で畑を趣味にして暮らすことが良いとは言えませんから、楽しみの支出と必要な支出のバランスを取り、支出を削減しつつもメリハリのある支出を目指されると良いのではないかと思います。

また、資金が底をつくことが わかれば、ご相談者の場合は住宅を担保にお金を借りるリバースモーゲージも活用できる可能性があります。使い方によっては良くない結果を生むことになるので、制度については十分調べて頂きたいですが、老後の資金繰りの策の一つとして知っておいていただけたらと思います。

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