はじめに

投資と投機の違い

株価が10倍になるという意味の「テンバガー」という言葉が一時流行りました。株式セミナーを開催したとき、参加者ら『テンバガーになる銘柄を教えてください』と言われたことがあります。

その方は10年間で10倍になる株ではなく、1年程度で10倍になる銘柄を期待したのだと思います。実際にそうした銘柄を選べると喧伝している株式教室や投資顧問業者もあるようです。そうした「投機」を勧める向きは、ほとんどの場合がテクニカル分析を使っており、「○○式」などと謳っています。

仮に、テクニカル分析で短期間に10倍になった銘柄を選んだとしても、10倍になるまで持ち続けられたというケースはほとんどないでしょう。ところが、ファンダメンタルズ分析で買った場合は、5年で10倍になった場合でも持ち続けたという人も多いと思います。

これがいわゆる本当の投資ということであり、一番いい例が上場する前に投資をすることです。会社設立時に投資し、その会社が上場すれば、リターンは何十倍、何百倍にもなります。

時間をかけて堅実な投資を

もちろん、投資でも投機でも、ファンダメンタルズとテクニカル双方の分析をすることも大切なのです。ただ、言葉の定義の問題もありますが、「投資」はファンダメンタルズ重視で行い、「投機」はテクニカル重視で行うと割り切って考えれば、投資での失敗を減らすことができると思います。

そして何より大切なのは、「投機」よりも「投資」を重視し、無理をせずに時間をかけて資産を増やすということです。ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析も関係なく、上がるから買うという「ゲーム感覚」で株式を売り買いすることは否定しません。ただ、資産を増やすというよりは、あくまでもエキサイティングな経験をするというゲームに過ぎないということを認識するべきでしょう。

一攫千金を夢見るのではなく、堅実に投資をするために必要なファンダメンタルズ分析、テクニカル分析のスキルを磨きながら、資産を増やすと良いと思います。

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