はじめに

社会保険料負担を簡易シミュレーション 個人会社の場合

次に法人化した場合の負担額を見てみましょう。

注意点として、法人化して社会保険に加入した場合、会社員であれば勤務先と折半する社会保険料を、個人会社では実質100%を自己負担により納めなければなりません。会社員と異なり、社会保険料会社負担分を自分の所有する法人から納めるため、結局自分が負担するのと同じだからです。そのため個人負担分と会社負担分は合算で考えます。

ご質問者の所得水準ですと、役員報酬の見積もりは社会保険料の会社負担分の支払いを考慮し、月額約54万円・年間約648万円を設定上限として考えます。

【役員報酬月額54万円の場合】
◆健康保険料 健康保険料は月額6万1,692円、年間で74万304円
◆厚生年金保険料 厚生年金保険料は月額9万6,990円、年間で116万3,880円
※全国健康保険協会の協会けんぽ東京支部に加入した場合の数字です。

健康保険料は支払額によって受益は変わりませんが、厚生年金保険料とiDeCoは老後の年金でご自身に返ってきますので、多く払うと損ではなく、現在の生活費を圧迫しない限り老後を考えると多く払う方が得ともいえます。

また、生活費をいったん考慮せず、社会保険料の負担軽減ということだけを考え、例えば役員報酬を月額10万円にした場合の社会保険料負担額を見てみます。

【役員報酬月額10万円の場合】
◆健康保険料 健康保険料は月額1万1,407円、年間で13万6,884円
◆厚生年金保険料 厚生年金保険料は月額1万7,934円、年間で21万5,208円
このように極端に役員報酬を減らすと社会保険料は削減できる試算になります。

ただ、役員報酬が低すぎると累進課税である所得税率の低い部分や給与所得控除を十分に使えないため、税務上は有利とは言えません。また、法人へお金が残ってしまうため、生活費資金を考えると、個人で自由にお金を使うには個人へお金を移さなければいけませんが、そこでの課税や貸付で返済が必要など、論点が煩雑化はします。将来、退職金として支払うのが法人から個人への有利なお金の移転方法にはなります。

なお、ここでは詳細は省きますが、事前確定届出給与を活用して社会保険料負担を軽減する方法などもあるようですので、法人化した際には調べてみるといいでしょう。

消費税の観点からも検討を

上記を総合的に考えると、あくまで私見ですが、法人化により社会保険料及び税金の負担を軽減するようコントロールは出来なくはないと思いますが、労力や事務負担コストを合わせて考えると、社会保険料の負担の損得だけではなく慎重に検討いただくほうが良いでしょう。

また、インボイス制度の適用の影響を考えると今後は難しい面があるかもしれませんが、売上1,000万円を超えた2年後から消費税課税事業者になりますが、個人事業主で売上1,000万円を超えた2年後に法人化すると消費税の課税が先延ばしにもなりますので、消費税まで考え、法人化の要否やタイミングなどを検討されるといいでしょう。

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