はじめに
住宅ローンが完済できれば老後も現在の生活水準を維持できる
まずは、老後に向けて必要な金額について考えてみましょう。
借入金額:670万円 金利:0.63% 借入期間:15年→
返済金額:3万9,018円/月
もし65歳までは働くとすれば、12年後の65歳までには完済したいところです。上記条件で、12年後の残債は約140万円程度となります。現在の貯蓄額や退職金の額を考えると、十分完済できる金額になります。
現在の住居費以外の生活費を見てみると、月々19万7,000円となります。現在の住居費が7万2,000円/月なので、住宅ローン金額から逆算すると、マンションの管理費や修繕積立金が3万3,000円となり、その他生活費と合わせると月々約23万円となります。
将来の公的年金の受取金額はご夫婦で23万3,000円とのことですので、住宅ローンを完済できれば、ちょうど今の生活費くらいは確保できる計算となります。
老後資金、いつまでにいくら用意すべき?
その他に必要なお金としては、医療費や介護費用、緊急予備資金などで500~1,000万円程度、住宅リフォームや修繕などで300万円~500万円程度考えておくと安心です。これらからご相談者の場合、65歳時点で1,500万円程度手元に準備しておきたいところです。
退職金が330万円、住宅ローンの65歳時点の残債140万円、現在の貯蓄860万円を考慮すると、今から65歳までに貯蓄が必要な金額が450万円となります。
450万円÷12年間÷12カ月=3万1,250円で、今から、月々3万1,250円、年間37万5,000円を貯めることができれば、準備できる計算となります。
どうやって準備する?
では、次にどう準備するかについて考えていきましょう。方法としては大きく2つです。
(1)貯蓄を増やす
(2)運用を取り入れる
(1)貯蓄を増やす
現在の年間貯蓄が30万6,000円ですので、今よりも年間約7万円貯蓄を増やす必要があります。今の生活費を少し抑えて貯蓄を増やすことができれば、確実に準備することができます。その場合、リスクを取って運用を取り入れなくても、目標とする金額を準備することができます。
中長期的な資産形成をする中でインフレリスクも考慮すると、運用を取り入れる効果はありますが、その場合でもリスクをなるべく抑えた運用で大丈夫そうです。
(2)運用を取り入れる
今の生活費をこれ以上抑えることが難しく、貯蓄を増やすことができなければ、目標を下げるか、リスクを取って運用して増やすことが必要です。運用を取り入れるといっても、むやみに運用すれば良いというものでもありません。どれくらいの利回りを目指すかによって、運用の方向性が変わってきます。
運用を取り入れる場合の目標とする利回りをみてみます。仮に現状の貯蓄額を積み立てていくと、年間貯蓄30万6,000円×12年=367万2,000円となります。12年後の目標金額の450万円を目指すためには、12年間で80万円ほど増やす必要があります。これは、こつこつ毎月積み立てながら、複利で運用をしていくと考えると、税金を加味しない場合約3.4%の利回りで運用していく必要がある計算となります。