はじめに

市場の注目「金融緩和の終了」をどう読むか

マーケットが最大のリスクと意識するFRB(連邦準備理事会)の金融緩和の終了ですが、市場が織り込んでいるコンセンサス、すなわち「2023年に2回の利上げ」が、当面はこれよりも早まることはないでしょう。この点は表現が難しいのですが、「実際にいつFRBが利上げするか」というより、「マーケットがFRBの利上げはいつか」と考えることが重要です。

足元の状況はコロナの感染再拡大で経済再開シナリオの修正が迫られるような状況です。米国の長期金利は一時1.1%台まで低下しました。このような状況ではマーケットはFRBの利上げ見通しを前倒すことはないでしょう。

であれば、株式は安心して買っていけます。

これから本格化する4~6月期の決算発表では通期業績の上方修正を発表する企業はそれほど多くないと思われますが、総じてみれば堅調な結果となりそうです。企業業績の改善を好感し、これから日本株は水準訂正の動きとなるでしょう。

オリンピック・パラリンピックが終わるころには、ワクチン接種も進展し、衆院選や自民党総裁選に絡む政治の不透明感にも一定の見通しが持てるようになっているでしょう。秋以降は季節的に株式相場が強含む季節です。

「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言があります。季節外れのものは安値で拾えるという意味です。株式相場で言えば、夏は「夏枯れ」で、株にとっては「季節外れ」。株のシーズンに向けて相場が弱い今こそ、仕込み時と言えるでしょう。

<文:チーフ・ストラテジスト 広木隆>

この記事の感想を教えてください。