はじめに
9月以降は国内の政治情勢に要警戒
チャート的なこれまでの傾向、節目となりうるポイントを確認したところで、今後の展開について簡単に見ていきましょう。相場に影響を与えそうな材料としては、国内政治情勢が挙げられます。
争点となりそうなのは、秋に開催を控える衆議院議員選挙です。安倍政権時の比較的与党が優位であった過去の状態と比べ、今回は様相が異なっており、政治の不透明性を嫌う海外投資家の動向が相場を左右する可能性があります。懸念点は現在の内閣支持率の低迷です。
昨年9月の菅政権発足当初は高かった内閣支持率ですが、新型コロナの政策にかげりが見え始めるにつれて下落を続け、7月以降は「危険水域」とされる30%近辺での推移が続いています。その中でも目下の新型コロナの新規感染者数の増加が留まることを知らず、緊急事態宣言の地域の拡大・延長と厳しい状況が続いています。
緊急事態宣言は先行きの経済見通しにも影響を与えるため、長期化は株価にとってもマイナス要因と言える上、内閣支持率にとってもマイナス材料と言えるでしょう。選挙までは投資の観点でも注目すべき指標と言えます。
加えて菅首相の地元、横浜で8月22日に市長選を控えており、結果次第では政権に更なる向かい風となるとも言われています。菅氏が支持する候補者が当選とならなかった場合は、政権運営にも影響がある可能性は指摘されており、マーケットにも影響があるかもしれません。
衆議院議員選挙を通過し、政治面での不透明感が払しょくされれば、例年パフォーマンスが良い年末に向けて下げ基調から一転して年末ラリーが期待できるところではあります。しかし、それまでの期間はじっと反転の時を待つ時期が続くことも想定に入れ、マーケットと向き合う必要がありそうです。
<文・Finatextホールディングス 菅原良介>