はじめに

相続を争族(そうぞく)にしないために

(1)分割について

相続において、まず一番大事にしたいのは、被相続人(財産を残す人)がどのような考えを持っているのか?です。

話しにくい内容ですが、例えば、どんな葬儀にして欲しいか、どんな場所(お墓)に入りたいか。「誰にどんな財産を残したいのか」も含まれます。残された家族は、出来るだけ故人の想いを尊重したいと思うものです。いざ亡くなった後となれば、その想いを確認する代表的なものに「遺言書」があります。

自筆の遺言書を法務局で保管することが可能に

これまで自筆の遺言書は自宅の金庫などに保管をするか、あるいは公証役場で、ある程度の手間と費用、時間をかけて作成し保管をしていたものが、今後、法務局にて自筆の遺言書を手数料3,900円で保管してもらえることで、選択肢が増えました。

また生前のうちに、残したい相手に贈与を行う手段もあります。

一般的に「生前贈与」とは、相続財産を減らすための「節税対策」としても有効な手段になりますが、それは「遺産分割」としても機能します。加えて、「財産目録」を作成して、どこに、どのような財産が、どのくらいあるか、を棚卸しておき、事前に家族で話あっておけば、争い事を軽減できると考えられます。

パソコンを使って財産目録の作成が可能に

これまでは、「全て自筆・手書き」でなければならなかった財産目録が、パソコンで作成し印刷した書類に「自筆のサイン」をすることで、同様の効果が得られるようになりました。

なにより尊重されるべき本人の意思は、その本人が元気に暮らしている時にしか、確認をすることは出来ません

(2)納税について

上記で、相続税がかかるケースは100人中7人程度とお伝えいたしまいたが、「節税対策」をしたことで「納税」を回避した件数も当然、相当数あるでしょう。その際、まず確認しなければいけないのは、「我が家の相続では、相続税が発生するか否か」の確認です。

(1)でお話しした「財産目録」が必要になります。「財産目録」や推定相続人の数などから、相続が発生した場合の相続税額を事前にシミュレーションしておくことが重要です。相続税は、相続の開始があったことを知った日(通常は、相続人の死亡日)から10か月目にやってきます。

例えば、土地を相続した子が、10か月後、その土地に対する相続税を「現金」で払わなければなりません。その時、手元に現金を持っていなかった場合、とても困ってしまいます。
せっかく相続をした土地を売却して、作った現金で相続税を払う、といった本末転倒なことが起きないように、予め対策をしておく必要があります。

相続税と同額の保険金を受け取れるように、子が受取人となる死亡保険をかけておく、など。

後述、「節税」の対策には、ある程度の時間をかけて行う方法も含まれます。その対策の途中に、いざ相続が起こってしまい、目的の効果が得られぬまま、納税資金が枯渇するようなことが無いようにしなければなりません。

そのため、「財産目録」からシミュレーションを行った相続税がいくらになるか?を知っておくことは、何をするべきか?の目的を明確にする大事な材料になり、「節税」よりも先に考える必要があるでしょう。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介