はじめに
残りの人生で損をリカバーできますか?
しかし、「運用期間が長期になるほどブレが小さくなる」というのは、平均値で見ているからです。それは机上の空論といってもよいのかも知れません。実際の運用に際しては、10年にわたって運用したにも関わらず、元本が半分に減ってしまったという期間にぶつかることも、十分に想定されるのです。
ここで、個人の資産運用に際してはもうひとつ大きな問題にぶつかります。それは、誰しも寿命があるということです。
たとえば70歳になるまで運用を続けて、運用資産が2,000万円になったとします。「2,000万円問題はこれでクリア」ということで安心した直後、リーマンショック級の株価暴落に見舞われたらどうなるでしょうか。あの時、株価は50%以上も下落しました。もしリスクポジションを持ったままだとしたら、2,000万円の運用資産が1,000万円に目減りしてしまうことも十分に考えられるのです。
不幸にしてこのような状況に直面したら、相当に残念なことになります。チャートを見るとよく分かりますが、下げは一瞬の出来事でも、相場が上昇に転じて前回付けた高値を抜くまでには、相当の時間を必要とします。つまり70歳で暴落に直面して運用資産を大幅に減らしてしまったら、恐らく残りの人生でリカバーするのは不可能かも知れません。
直近のコロナショックでも、株価は大きく下落しました。マーケットは数年に1度の頻度で、必ず大きな暴落に見舞われます。投資信託などで老後資産を運用している人は、常にそういうリスクがあるのだということを認識しておく必要があります。金融機関や運用会社のホームページなどに掲載されている、「長期投資するとリスクは小さくなります」といった甘言に騙されないようにしましょう。