はじめに

相談者の想定する選択肢は現実的?

考えられている選択肢についてですが、
(1)の「完全にリタイアし、8,300万円を運用しながら30万円を取り崩して生活する」というのは、少し厳しい可能性があります。

(2)の「年収200万円ほどの仕事をし、サイドFIREする」、(3)の「年収280万円ほど仕事をし、サイドFIREする」場合は、どちらの案でも90万円ほどを生活費にまわしながら、小規模企業共済やiDeCoを続けることを考えていらっしゃいますね。確かに、小規模企業共済は、個人事業主の方や会社の経営者のための「退職金制度」と言われ、所得控除が受けられるので、収入がある方は税金が優遇され有利な制度となりますが、所得が現在に比べて少なくなるので、所得控除のメリットは小さくなります。それほど大きな税制メリットが無いので、無理に制度を利用して運用資産を減らすより、稼いだ収入を生活費に充てて8,300万円の資本を取り崩す金額を小さくしたほうが良いでしょう。

個人年金についても、1万5,000円ずつ積み立てたものが月2万円になっているので、お得なように感じますが、利回りにすると1%前後のことが多く、投資運用で備えたほうが有利な場合が多いです。無理に続けて、8,300万円の運用資産を減らさないほうがよいと思います。

FIREは、「自由な選択肢をもつための手段であって、目的ではない」

よく、FIREは、「自由な選択肢をもつための手段であって、目的ではない」と言われます。今後の生活が大きく変わって行く可能性がある中で、FIREが生活をより良く過ごすための手段になれば良いと思います。パートナーとの生活やご一緒に働いているお母様の生活とのバランスをみながら、選べる自由の中から最適な選択をされて行けば良いと思います。

どこか参考になれば幸いです。

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