はじめに

キャリア自律度を高める方法

キャリア自律度を高めるには、どうしたらよいでしょうか。

まず、人事管理の方法に着目すると、「組織目標と個人目標の関連性」「処遇の透明性」「ポジションの透明性」「キャリア意思の表明機会」といった項目が、キャリア自律度を向上させるようです。人事評価の透明性を高め、働く人から信頼してもらうことが効果的なのでしょう。

出典:パーソル総合研究所 / キャリア自律に関する調査結果を発表

上司のマネジメントも、キャリア自律度に影響していました。上司から部下に対する「期待伝達」「ビジョン共有」「理解とフィードバック」といった項目が高い層ほど、部下のキャリア自律度が高かったのです。

出典:パーソル総合研究所 / キャリア自律に関する調査結果を発表

組織診断・サーベイ活用を

キャリア自律度の高い人は、自ら工夫して積極的に仕事を進めるため、企業にとって貴重な人材です。ただ、パーソル総合研究所によると、キャリア自律度が高いと転職意向も高い、という傾向がみられます。企業としては、働き続けてもらいたい人ほど流出する可能性が高い、ということです。

「企業が人を選ぶ」のではなく、「企業が人に選ばれる」という考え方を取り入れ、キャリア形成につながる業務を任せるなどすれば、転職リスクを軽減できます。企業が従業員を一方的に評価するのではなく、満足して働ける環境かどうか自省するのです。

それには、企業自体の問題点や課題を可視化できる組織診断ツールや従業員満足度調査(エンゲージメントサーベイ)が役立ちます。組織の「望ましい状態」を定義し、ツールでその状態との解離度を認識することで、必要な対策がとれます。

従業員がキャリア形成の見通しに不安を抱いていたり、エンゲージメントが低下していたりといった問題が明らかになれば、具体的な改善策を立案できるでしょう。人事評価制度を見直す機会になります。

働き方の柔軟性が高まり、転職もしやすくなったいま、人材と組織を多方面から分析できるツールの活用が欠かせません。

(この記事はボクシルマガジンからの転載です)

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