はじめに

改正に伴い、今から確認しておくべき3つのポイント

では、実際にA子さんへはどんな影響があり、何に注意をすればいいのでしょうか?

まず、「1)受給開始時期の選択肢拡大」で、いますぐに何かを行う必要は生じません。将来、何歳から受給するのがいいのか?については他の金融資産や夫婦の年金受給額など資産全体から検討するのが良いでしょう。その際、注意することはiDeCoの受け取り方によって税金の計算方法が異なる点です。

一括受け取りの場合は退職所得控除、分割では公的年金等控除が利用できますので手取りの受給額に差がつく可能性があります。今後、自分にメリットがある受け取り方法について考えておく必要があります。

次に、「2)加入可能年齢の拡大」で確認しておきたいポイントが3つあります。ここは今から考えておきたいところです。

1. A子さんは老後のためにお金を増やしたいので、60歳以降もiDeCo加入がオススメです。そもそも54歳から加入しているので加入期間は60歳時点で10年未満、60歳での受給はできません。なお、仮に10年の加入期間があったとしても60歳で受給してはいけません。受給してしまうと、掛金を払い続けることができなくなってしまうからです。

2. 現在、扶養内でパート勤務をしているA子さんは国民年金第3号被保険者に該当します。60歳以降、iDeCoに加入するには国民年金の任意加入被保険者になれるかを確認する必要があります。具体的には国民年金保険料の未納があれば、その期間だけ加入できます。65歳になるまで加入できるかは調べてみないと分からないものの、短大卒業後に数年働いて結婚して専業主婦になったので未納期間はないとのことでした。

3. 任意加入被保険者になれないのであれば、iDeCoに加入するには厚生年金に加入できるパート勤務をするしかありません。もしも勤務時間を増やせば今の勤務先で厚生年金に加入できるかもしれないので確認が必要です。また、厚生年金に加入することで夫の勤務先の健康保険の扶養からは外れることになります。そのため、社会保険料の負担が増えますが、将来の老齢厚生年金が増えるメリットなどもあります。

以上から、2022年の改正に伴い、A子さんには今後の働き方を考えることになりました。何を選択するのがベストかは、人それぞれの考え方によって異なりますので正解は一つではありません。自分への影響を正しく理解して、A子さんには納得のいく選択をしていただきたいところです。

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