はじめに

世界的なインフレの波はココにも

コロナ禍において感染拡大を防止すべく、世界各国が経済活動を抑制していましたが、今年の春先から徐々に経済活動を再開しました。その結果、需要が一気に高まる一方で、人手不足や物流の混乱などによる供給制約によって、世界的に物価が上昇傾向にありました。そこに原油価格の高騰が加わり、世界的なインフレ懸念が生じました。

実はこの世界的なインフレの波が不動産業界にも影響を与えているのです。鉄鋼価格や建築用木材の価格が上昇しており、住宅の内壁や天井に使う石こうボードやフローリング材なども軒並み値上げラッシュとなっています。年明けには大手セメントメーカー3社がセメント製品の価格を引き上げると発表しています。これらの価格上昇もマンション価格を押し上げる要因となっているのです。
 

こんな高いのに誰が買ってるの?

首都圏の新築マンションの価格が歴史的な高値にあることと、その背景を色々な角度から見てきましたが、これだけ高価格になっても買う人がいるから、現在の価格がついているわけです。では誰がこんなにも高いマンションを買っているのでしょうか。

資産家や外国人投資家が買っているとすぐに思い浮かぶかもしれませんが、主な買い手として昨今言われているのがパワーカップルの存在です。パワーカップルとはこの数年でよく耳にする言葉ですが、その定義は曖昧です。ここでは夫婦ともに年収が700万円を超えている世帯と定義したいと思いますが、総務省が発表している労働力調査のデータに基づけば、2013年から2020年まででその世帯数は1.6倍にまで増えています。

特に2020年にその世帯数が急増していと分かります。コロナ禍で実体経済はボロボロだったはずなのにと思うかもしれませんが、実はコロナ禍の影響は人によってバラバラだったのです。

たとえば、業種でいえば、リモートワークの普及で情報通信業は追い風を受けましたし、近所で買い物を済ませたいニーズからスーパーマーケット業界にも追い風が吹きました。一方で、飲食店や観光・宿泊業などには強烈な逆風が吹きました。

これは個人でも同じで、非正規雇用で低所得の方はコロナ禍では非常に大変な環境に追い込まれたと思いますが、一方で資産家たちは株式市場や不動産市況が好調だったことで資産を更に増やしていったのです。

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