はじめに
シミュレーションの結果は、妻のアーリーリタイアは可能?
結論としては、ご相談者さんがアーリーリタイアすることは全く問題がなさそうです。要因は大きく以下の3つです。
・夫の年収が高いこと
・夫の退職金が2,000万円を超える想定であること
・住宅ローンの支払いがもうすぐ終わり、その他生活費も比較的抑えられていること
夫の収入が高いので、ご相談者さまが仕事を辞めても問題ないでしょう。もうすぐ住宅ローンを払い終えるので、固定費が大幅に削減された家計になると思います。
資産が十分にあるので、生命保険は夫の死亡保険以外は解約しても問題ない
生命保険についてですが、夫が入っている掛け捨ての死亡保険以外は不要と思われます。医療費は実費の3割負担で済むことや、高額療養費による支払い上限もあるのでそこまでかかりません。医療保険の場合は、「入院したら」「手術したら」「放射線治療の場合」「がんになったら」など、保険がおりる条件に該当しないと支払われません。例えばがん保険でいくら備えても、「がんではなく、脳梗塞になった。手術はしないし、自宅療養になった」としたらほとんど保険はおりません。つまり用途が限定されてしまうのでいざという時に使えない可能性もあるということです。現在、すでに数千万円の資産をお持ちですので、医療費については十分貯蓄から支払えます。怖がらずに解約されると良いと思います。
家族全体のお金として戦略的にプランを練ることが大切
既に資産があり、夫の収入が高いのに不安がある原因は、ライフプランを組んで“いついくらかかるか”の具体的なイメージが持てていないことと、夫婦別財布であることだと思います。少なくとも年に1度資産を確認し合う習慣は非常に有益なものだと思いますのでぜひ続けていただければと思います。
また「これは私のお金、これはあなたのお金」と分けずに、家族全体のお金として、夫婦の目線を揃えて、どのように増やし、どのように使うのかが戦略的に共有できるようになると、非常に強い家計になります。夫婦が自分のことを考え、「あなた・わたし」とお互い向き合うのではなく、「私たち」が、共に老後の生活をどのようにしていくのか、そのために今何をするべきかなどの価値観も含めて話し合い、共有できるようになると不安も減るように思います。強い家計は、「家の計画」を家族で共有できるかにかかっていると思います。どこか、参考になれば幸いです。
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