はじめに

2021年11月18~20日、“明日から実践できる、貯める・増やすコツがここにある”をテーマに、オンラインイベント「マネーフォワード Week」が開催されました。

18日に行われた「あなたの人生を豊かにする米国投資入門~積立から個別株まで~」では、マネックス証券株式会社 チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏が、最近注目を集める米国株投資について、その魅力や投資を始める際のポイントについて講演しました。

本記事では、内容を一部抜粋・編集して紹介します。

米国企業の業績が良い理由

なぜ米国株のパフォーマンスは長期でしっかりしているのでしょうか。理由の第一は企業業績が良いことです。日米の比較でみてみましょう。例えば売上総利益率については日本は30.2%、米国は34%です。営業利益率については日本は8.3%で、米国は13.5%です。また稼ぐ力と言われているROE(株主資本利益率)については日本の8.6%に対し米国はほぼ倍の15.8%です。(2019年12月現在:1ドル=113円で計算)

この差はどこから生まれるのでしょうか。要因の一つと私が考えているのは日米のR&D、つまり研究開発費の違いです。研究開発費トップ10の企業で比較をすると、米国企業は日本企業の4倍近い額を年間で投資しています。それだけの大金を使うとそれなり以上の商品やサービスを提供することができます。

今後の米国株はどうなる?好調は続くのか

次に米国株が今後どうなるかという視点でお話をします。私はこれから2030年くらいまで、米国株は控えめに見ても平均年間6%程度上がると考えています。そうするとS&P500は2030年には7,000ポイントを超えてくる計算になります。

私は決して米国株がこれから毎年上がっていくと考えている訳ではありません。過去を見ても、企業業績が落ち込んだ年には株価の調整が一時的に起きることもありました。しかし、長期的なトレンドとして、業績が長期的に堅調に推移してきたというのが米国株の歴史です。このトレンドは今後も継続するだろうと考えています。

なぜ今後も米国株が上がると考えられるのか、理由は、第一に「人口」です。国際機関の見通しによれば、日本の人口は既にピークをつけていますが、米国は今後も増えると言われています。日米の人口の差は現在2.7倍ですが、2030年になると3倍、2040年になると3.3倍、2050年には3.7倍になると見られています。

米国には世界中から人が集まる仕組みがあります。移民と世界有数の教育機関です。米国は世界最大の移民受け入れ国で、世界の移民人口の19%が米国に居住していると言われています。色々な背景を持つ人が集まった結果、米国の社会は多様性を重んじる傾向があります。多様性の中で色々な意見や考え方が出てきますので、それが企業を活性化させる原動力の一つとなっています。

また、世界のベスト20の大学のうち14校が米国にあります。大学を卒業すると、もちろん本国に帰る人もいますが、米国に残ってグローバルな一流企業で働く人も少なくありません。さまざまなバックグラウンドを持つ優秀な若い人々が集まる、このことが米国企業をよりイノベーティブなものにしているのです。そのようなエコシステムが出来上がっているのも米国企業の強さの理由の一つだと思います。

第二に、米国の企業のトップは報酬が株価に比例しているケースが多くあります。さらに、米国の企業は歴史的に増配、自社株買い、つまり積極的な株主還元を行っている企業も多いのです。こういったことも米国株が上がりやすい理由の一つとして考えられます。