はじめに

2022年はインフレと米金融政策が焦点に

2022年の米国株式市場の焦点として、インフレの動向と金融政策の行方がこれまでと同様、もしくはこれまで以上に注目されそうです。12月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、米金融当局がインフレへの警戒感を強く滲ませるかたちで、タカ派的な決着を見せました。

結果の概要としては、(1)声明文から「一過性」の文言の削除、(2)テーパリング(資産買取規模の縮小)の加速、終了時期の前倒し、(3)2022年に3回の利上げ見通し(9月FOMC時は1回)、などが挙げられます。

また、ドットチャートの分布(FOMCメンバーによる予想の分布)で見ると、2022年に1回の利上げ予想が1人、2回が5人、3回が10人、4回が2人。前回9月のときには0回が9人、1回が6人、2回が3人でした。

今回は高い集中度合いのもとで、2022年に3回の利上げが予想されており、FRB(連邦準備理事会)内で利上げ前倒しのコンセンサスが醸成されつつあることがうかがえます。12月FOMCの結果は想定されていた中でも、もっともタカ派的な内容と受け止められるでしょう。

しかし、かねてから、FRBがタカ派に傾斜する姿勢を示してきていたため、それはある意味で整合的な結果ともいえます。今回、FRBが逆にハト派寄りに傾いていたら、かえって金融当局のスタンスの「ブレ」が嫌気された可能性があります。

あくまでも想定「外」のことが起きなかったということ、また、ひとまずは政策の不透明感が払しょくされたことなどはポジティブに評価できるでしょう。市場参加者が利上げに向けた道筋を明確に見据えて、マーケットに向き合えることの意義は大きいと考えます。

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