はじめに

持続可能な競争か?

ただ、インデックスファンドで気になるのは、このローコスト競争がどこまで続くのかということです。

かつてインデックスファンドの信託報酬率は、年0.7%~1.0%程度はありました。それが今では年0.15%前後ですから、物凄いディスカウントが進んだことになります。もちろん、インデックスファンドを購入する個人からすれば、コストは安いに越したことはないということになりますが、それは果たして持続可能なものなのでしょうか。この点をしっかり考える必要があります。

最近、インデックスファンド界隈で注目されているのは、信託報酬率の一物多価問題です。同一運用会社が運用する、同じ株価インデックスへの連動を目指すインデックスファンドなのに、信託報酬率に差があるという問題です。金融庁がフィデューシャリー・デューティーの面でこれを問題視したことから、大手運用会社はその一律化を進め始めました。

この点については、某大手運用会社が一律年0.5%にしたなどと報道されましたが、実はこの運用会社が運用しているインデックスファンドの中には、信託報酬率が年0.1%のものがあったのにも関わらず、そこまでは引き下げませんでした。なぜなら全インデックスファンドの信託報酬率を、年0.1%の方に寄せて引き下げてしまうと、いくらたくさんインデックスファンドを売っても、全く収益に寄与しなくなる恐れがあるからです。

投資信託会社も営利企業ですから、利益が出ないファンドを運用し続けるわけにはいきません。ローコストファンドが増えるのは、投資家からすれば良いことかも知れませんが、際限なきコスト引き下げ競争は必ずどこかで限界を迎えます。

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