はじめに

インデックスファンドも経費はかかる

では、なぜ「インデックスファンドはローコストで運用できる」と思われているのでしょうか。それはアクティブファンドの場合、企業リサーチなどに高い経費が掛かる一方、インデックスファンドは連動目標となる株価インデックスに連動させるだけなので、リサーチ経費が掛からない分だけコストを抑えられると思われているからでしょう。

でも、インデックスファンドも経費は掛かります。多少なりとも人件費が掛かりますし、各種管理コストも必要です。それにインデックスファンドの場合、インデックスの使用料を、そのインデックスを算出している会社に支払わなければなりません。たとえば日経平均株価であれば、日本経済新聞社にライセンス料を支払うことになるのです。

このライセンス料は、指数を算出している会社と運用会社との間の個別交渉で決められるため、一律に何%かと言えないのですが、経済誌に書かれていた数字によると、ファンドの資産残高に対して年0.01%~0.03%程度掛かるそうです。これらを総合すると、「たとえインデックスファンドでも年0.5%程度の信託報酬を取らないと厳しい」と、某運用会社の経営者が言っていました。

つまり、年0.15%前後でコスト引き下げ競争にしのぎを削っている現状は、運用会社として、かなり無理をしていることになります。

それでも信託報酬率の引き下げ競争を続けられているのは、他のアクティブファンドで高めの信託報酬を取っているからとも考えられます。

ただ、それはアクティブファンドの受益者の犠牲によって実現しているローコストなので、あまり健全とは言えませんし、そこまで無理をした競争は、いずれ破綻をきたすことになると思うのです。

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