はじめに

支出のチェックと改善ポイント 車両費・その他

●車両費:6万5,000円
こちらも家計の中で支出が多いと思います。車は保険や住宅とならび「3大浪費」に数えられます。資産になるという人もいますが、ランニング費用(ガソリン、車検、自動車保険)がかかる上に、特定の車でなければ売却価格は下がり続けるので、基本的には負債です。「充実した生活を送るために車を買う」のであればよいですが、「車を買うために生活が苦しくなる」のでは本末転倒です。自動車を売却してカーローンを返済し、新しく中古車などを選ぶとよいと思います。

●その他:5万円 →0円
自己啓発やセミナーにお金をかけているようですが、ここは本当に自己投資になっているか考えたほうがよいでしょう。会社で役員をしているので、マネジメント力を鍛えたり、自己研鑽をしたりするのは非常によいと思いますが、借金がある中で年間60万円かけるべきなのかは考えものです。収入を増やすための投資と考えているかもしれませんが、投資は借金が無くなってからが鉄則です。無料で動画を見たり、本を読んで学んでも十分に吸収することができるでしょう。

少なくみても、毎月の支出から合計12万円は改善できそうです。

投資よりもいち早く返済を

借金についてはカードの返済と借り入れ返済で9万5,000円の支払いがあるので、これではなかなか貯蓄が増えないと思います。300万円の現金貯蓄がありますが、借金の返済に当てられないのはお子さんの教育費などを貯めているのでしょうか? 本質的に考えると見かけ上の貯蓄額を気にするのではなく、返済を優先するべきだと思います。300万円の貯蓄を守るより、250万円の借り入れを返済して借金をゼロにした上で、家計を貯蓄体質に変えて積み立てた方がよいと思います。

貯まりやすい家計になるには、収入から貯蓄額を引いた残りで生活する「先取り貯蓄」が推奨されますが、いきなりやっても失敗することが多いです。自動振替で別の貯蓄口座に振りわけても、根本的な家計が改善していなければ生活費が足りなくなります。そうなれば、せっかく別口座に入ったお金を引き出すことになるので意味がありません。まずは家計ひとつひとつの支出を見直し、改善してから、自動で無理のない金額を振り替えるとよいでしょう。

貯蓄性保険よりもつみたてNISAやiDeCoを

また、貯蓄型保険ではなく、つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用するとよいでしょう。貯蓄型保険は、途中解約すると解約返戻金が少なく元本割する可能性があります。また、利回りが低く手数料が高いので、長期でお金が拘束されるわりにはリターンが少ないので機会損失になります。あまりに返戻金が少ない場合を除いて、「割高な掛け捨て保険に入ったけれど、何事もなくてよかった」と割り切って解約し、投資に切り替えていくとよいでしょう。

穴の空いたバケツに水が貯まらないように、支出がコントロールできない家計にはお金は貯まりません。家計を把握してひとつひとつの支出を改善し、お金が貯まるような仕組み(自動振替や、自動積立投資)が設計できれば、収入は高いので不安のない資産形成ができるでしょう。

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