はじめに
老人ホームや認知症のことも考えておこう
また、シングルで重度の介護状態になってしまった場合には、自分では何もできないため、老人ホームに入るという選択をする必要がでてきます。一口に老人ホームといっても、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的老人ホーム」と民間企業が運営する「民間老人ホーム」があり、どちらに入居するのかによって費用も全く違います。一般的には、公的老人ホームは費用が安いので人気がありなかなか入居できません。民間老人ホームに入るとなると、入居時の一時金の費用として500〜1,000万円、月額の費用は毎月25〜30万円程度かかります。
さらに、認知症になってしまった場合には、財産を誰に任せるか、自分の死んだ後の整理をどうするかなどの問題が発生します。今回は、詳細は省きますが、シングルの場合は特に、認知症になってしまった場合の対策についても考えておく必要があります。
ちなみに、もし、ご両親が介護状態になってしまったという場合、ご両親と同居しているご相談者さんにも少なからず影響があるでしょう。ご両親の状況から見ると、ご相談者さんに経済的な負担がかかることはあまりなさそうですが、介護が長引けばご相談者さんが負担する可能性もでてくるかもしれません。これを機会に介護保険で受けられるサービスやそれに伴う費用、そして費用を軽減する制度を調べておくのもよいと思います。
老後資金・介護費用どう貯める?
では、老後資金、介護費用をどう貯めるかについてですが、既にご相談者さんは、貯蓄や投資を頑張っていらっしゃるご様子。上記で見てきた試算によると、基本的な老後の不足金額が約282万円、介護費用は507万円、ここに医療費や+アルファを加味すると、最低でも1,000万円程度準備したいところですね。
仮に現在の状況で65歳まで働き続けるとした場合は、貯蓄に加えて、ドル建ての終身保険や養老保険の満期金で基本的な老後費用、介護費用は準備できそうですね。
とはいえ、早期に仕事を辞めたり、働き方を変えたりする場合や医療費、その他、プラスアルファの費用なども考えると、税制優遇の恩恵を受けながら中長期的に安定的にお金を増やしていける可能性が高いiDeCoやつみたてNISAなどの制度を利用して、コツコツお金を増やしていくと安心です。
貯蓄の取り崩しと家計の見直しで毎月5万を積立投資へ
現在、毎月10万円投資しているようですが、貯蓄から取り崩しているとのことなので、長期的に毎月10万円を投資するのは難しいですよね。貯蓄からの取り崩しを調整したり、家計を見直したりするなどして、仮に毎月5万円コンスタントに積立投資をしたとします。ご相談者さんは、現在38歳とのこと。60歳までの22年間、毎月5万円を利回り4%で運用することができれば、約2,100万円になります。
金融庁の資産運用シミュレーションで、毎月の積立金額、想定利回り、積立期間を入力すると、将来どれくらいの資産が築けるかがわかります。
何歳までどんな形態で仕事をするのかなどを考えて、今回アドバイスさせていただいたことを参考にしながら、ぜひ試算してみてください。今からどれくらい準備したらよいのかが見えてくるのではないかと思います。
今回は、生涯シングルの場合を想定したマネープランのアドバイスをさせていただきましたが、お相手の方と将来のことをしっかり話合う機会が設けられるとよいですね。この度は、ご相談ありがとうございました。少しでもご参考になれば幸いです。