はじめに

4月は新しい年度が始まることもあり、生活の環境が大きく変わる人も多いでしょう。新生活で気になることの1つがお金の話。この連載は「お金の育て方」というタイトルなので、どうしても資産運用などお金を増やすことに関する話題が多くなりがちですが、増やす以上に大事なことが、お金の使い方と守り方です。新生活を迎えるにあたって改めてお金についての意識を高めていきましょう。


金融教育に関する報道への違和感

今年の4月から新たに始まることとして、高校の家庭科の授業のなかで金融教育があります。昨年から頻繁に報道されているため、ご存じの人も多いでしょう。しかし、実はこの報道は正確ではありません。文部科学省が平成22年1月に公表した「高等学校学習指導要領解説 家庭編」の中には「生活における経済の計画と消費」という項目があり、そこでは「資金管理とリスク」のテーマを扱っており、既に金融教育は行われていたのです。

既に行われていたのに、今年から金融教育が始まると頻繁に報道されている理由はなぜでしょうか?それは、平成30年に告示された指導要領の中で、債券や投資信託という具体的な金融商品の名前が記載されたからなのでしょう。

日本でも金融教育を普及させたいと思い2018年に株式会社マネネを創業した筆者からすると、少し違和感があります。どうも「金融教育=投資教育」という印象を持っている人が多いと感じるからです。本来であれば、金融教育においては、お金とは何かを学んでから、お金の増やし方だけではなく、使い方や守り方など幅広く学んでいくべきだと思うのです。

今回の金融教育では、お金を増やす(資産形成)だけでなく、これまでも授業の中で扱っていた家計管理や、金融トラブルについてなど、幅広いお金のことを教えることになっています。「金融教育=投資教育」という先入観は捨てて、幅広くお金について学んでほしいと思います。

お金を守る重要性が高まった

金融教育が始まる以外にも、お金に関する大きな変化があります。それは成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことです。これまでは18、19歳のうちであれば怪しい契約を結んでしまっても、「未成年者取消権」を使って本人や保護者などが事後でも契約を取り消すことができましたが、今後はできなくなってしまいます。それゆえに、お金を守る重要性も高まってきたといえるのです。

昨今は子どもでもスマホを持つことが増え、いろいろな詐欺の被害にあう可能性もあります。どのような詐欺であっても、「おいしい話は存在しない」という真理を頭に入れておけば回避できるのですが、人間の気持ちは弱いものです。そこで、金融機関でもないのに「元本保証」を語ったり、「必ず」または「絶対」といった言葉を使って利益を保証するような話については、どのような内容であったとしても相手にしないようにしましょう。

また、どうしても契約したい話があったら、説明を受けたその場で契約してしまうのではなく、一度持ち帰って、親や友達など信頼のできる第三者に同じ説明をして、その内容が本当に大丈夫かという意見を求めるようにしましょう。

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