はじめに

手仕舞いがベターであると考える2つのポイント

1つ目は保有している信託報酬が4本とも2%を超えていることです。信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかる費用で、保有している間はずっと払い続けることになります。信託報酬は0.1%ほどから2.5%ほどまでと投資信託によってさまざまですが、Aさんの保有しているものは2%超えですから高いことがわかります。ただし、信託報酬が高くてもそれに見合うリターン(収益)があれば問題ありませんが、逆の場合は問題ありと言えます。

2つ目は保有している全ての投資信託の償還日が2022年から2024年と2年以内であるところです。償還日とは運用期間の終了日のことを指し、一般的にテーマ型の投資信託には償還日が設定されていることが多いのです。運用会社の判断次第では運用期間が延長される場合もありますが、確実ではありません。償還日までに収益が出なければ損失が確定してしまうことになります。

以上の2点から、投資信託の資産額全体で含み益があるところで売却するのも選択肢の一つではないかとお伝えしました。

いつ投資信託を売るべきなのか

注意したいのは、投資信託を売るタイミングについてです。投資信託は、価格が変動する有価証券などに投資をしているので日々価額は変動します。そして、売却発注時点では、取引が成立する値段(約定価格)が分からないブラインド方式となっています。通常、国内に投資するファンドであれば、15時に申込が締め切られて当日の証券取引所が終了した後に算出される基準価額で約定します。いっぽうで、海外に投資するファンドの場合、翌営業日の基準価額で約定しますが、海外休場日などもありますので約定タイミングが後ろにずれる可能性もあります。

このように、残念ながら投資信託は株式投資と異なり売却する値段を自分で決めることはできません。しかし、この状況の中でもAさんができることはあります。まずは、保有している投資信託の投資先が国内であるか海外であるかを確認して、約定日を調べることです。その上で相場環境と投資信託の値動きをウォッチしながら注文締め切り時間ギリギリで発注を入れるなどで対応するのがベターな手仕舞いではないかとお伝えしました。

Aさんは保有している投資信託の内容や状況を理解され、損失が出ない程度で売却できればよいとして、全ての投資信託を売却する方向で進めることを決心されたのです。

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