はじめに
早生まれは扶養控除でも損をする!
これまで児童手当について見てきましたが、実は早生まれやの場合、児童手当だけではなく、扶養控除でも損をします。
扶養控除とは、その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に利用できる控除。生計が同一で所得金額(収入から控除等を引いた金額)が「48万円以下」であることが条件です。
この年齢と所得の条件を満たす16歳以上の子どもがいる家庭は、38万円の扶養控除を受けることができます。
さらに、もっともお金がかかる大学生に相当する年齢(その年の12月31日現在で19歳以上23歳未満)の子どもがいる家庭については控除額が上乗せになり、特定扶養親族として63万円の特定扶養控除が受けられます。
扶養控除を受ける条件は「その年の12月31日現在で16歳以上23歳未満」。それに対し、中学校を卒業して高校1年生になった早生まれの子は、12月31日現在でまだ15歳なのです。
扶養控除の対象が16歳からなのは、15歳までは児童手当を受け取れるからです。しかし、早生まれの子の場合は、扶養控除を受けられるのが1年遅くなってしまうことになります。
でも、「早生まれの子は16歳での扶養控除が1年遅くなるかわりに、4月以降に生まれた子よりも1年長く扶養控除を受けられるのでは? 」と思う方もいるのではないでしょうか。
実はそうはいかないケースが多くあります。なぜなら、子どもが扶養控除の対象親族となるのは、子どもの年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合のみだからです。
現役で大学に入り、4年で卒業して就職した場合、対象親族の要件からは外れ、23歳時点で受けられる予定だった特定扶養控除(63万円)は受けられなくなってしまいます。
仮に所得税の税率が10%だとすると、6万3,000円損することになります。また、住民税(税率10%)についても45万円の特定扶養控除が受けられなくなりますから、4万5,000円の損になります。つまり、合わせて10万8,000円も損をしてしまうのです。
このように、児童手当や扶養控除に関しては、残念ながら生まれ月によって金額に差があるのが現状です。早生まれのお子さんがいらっしゃる場合には、こうした状況を踏まえて、今後のマネープランを立てる際の参考にしてくださいね。