はじめに
「政策金利」を利上げすると株価の下落要因になる理由
政策金利とは、中央銀行が一般の銀行にお金を融資する際の金利のことです。この政策金利は中央銀行の金融政策によって決定されます。米国ではFRBがFOMCで決定します。
この政策金利は一般的に景気が良いと高く、景気が悪いと低く設定されます。例えば景気が悪くなってくると中央銀行は政策金利を引き下げます。すると、金融機関は安い金利でお金を調達できるため、企業は安い金利でお金を借りることができ、設備投資などが行いやすくなります。つまり、通貨の流通を促進し、市中にお金が回って経済が活発に動き、景気が良くなることを期待するのです。
また、金利が下がると安い金利で預金しても資産が増えないので、株式や外貨などの投資にお金がまわります。コロナ禍でFRBは2020年3月にゼロ金利政策と量的緩和の2つの金融緩和策を導入し、経済への悪影響に対応しました。
一方、中央銀行が利上げをするのはどのような時かというと、反対に景気が良くなって来た場合が挙げられます。今年に入ってFRBが金融引き締めへ政策を転換させた背景には景気回復のほかに、物価上昇=インフレが長引くことを抑制する狙いがあります。
タカ派とハト派
冒頭で出てきましたが、ニュースなどで「タカ派」「ハト派」といったワードもよく耳にすると思います。政治の世界では、強硬な姿勢や武力行使も容認する姿勢の政治家・団体を「タカ派」、穏健な姿勢や平和主義の姿勢の政治家・団体を「ハト派」と呼んでいます。
金融政策に対する姿勢に置き換えると、タカ派は景気の安定よりも物価上昇の抑制を優先する「金融引き締め=利上げ」の政策寄りとなり、ハト派は物価の抑制よりも景気安定を優先する「金融緩和=利下げ」の政策寄りとなります。
これを念頭に、5月のFOMCの内容を紐解いていきましょう。