はじめに

ブロックチェーンの流れを振り返ると見えてくること

ブロックチェーンの過去の変遷を振り返ると、いまのブロックチェーンは「第4世代」にあたります。

第1世代というのは、ビットコインとその“コピペ”です。第2世代はイーサリアムとその“コピペ”。第3世代はイーサリアム上で動くアプリケーションたち。そして第4世代が、イーサリアムのガチライバルたちです。

第1世代は、「通貨」としての暗号資産・ブロックチェーンです。2007年に誕生したビットコインなどがその代表となります。ビットコインの本質は「インターネットが初めて持ったネイティブ通貨」だということです。これまでもフィンテックサービスはたくさんありましたが、それらは結局すべて既存のシステムの上に乗っかっているだけでした。

既存のクレカ、SWIFT、銀行のネットワークの上で、少し効率的にしているだけの話でした。

でも、ビットコインは何の既存の仕組みの上にも乗っていない全く新しい「通貨」でした。

ただ、ビットコインもオープンソースのプロダクトであるため、ソースコードもオープンであり、コピペすればすぐに作れます。だから、ビットコインのコピペのようなものがたくさん出てきたのですが、結局、第1世代の戦いはビットコインの圧勝で終わりました。

第2世代では、2013年に当時19歳だったヴィタリック・ブテリンの「あらゆる目的のために使えるブロックチェーンのプラットフォームを創りだす」というビジョンに共感した人たちが集まってイーサリアムが誕生しました。このときもライバルはたくさん出てきたのですが、イーサリアムの圧勝で終わっています。

第3世代では、イーサリアムというプラットフォームができたために、その上で動くアプリケーションがいろいろと出てきました。その初期に流行したのが、資金調達としてのICO(新規通貨公開)です。その後、DeFi(分散型金融)やCeFi(中央集権型金融)という概念が生まれ、NFT、GameFi(ブロックチェーンを活用したゲームと金融の融合)、DAO(自律分散型組織)へとつながっていきました。

そして第4世代に入り、第3世代の中で見えてきたイーサリアムの限界(電力消費が大きい、トランザクションが遅いなど)も含め、それらの問題を解決しようとする動きが出てきています。

新規事業のキーとなる、ブロックチェーン事業戦略のヒント

私は、これまで多くの新規事業を立ち上げたり、投資をしたりしてきました。

モバイルゲーム、モバイル動画、VR/AR、ブロックチェーン。新しい事業をつくる際には、私なりの必勝法というものがあります。

まず3年から5年後に来る市場はどこかというのを見定めて、次に市場が立ち上がってきたらそこで成功する会社はこういう会社だという仮説を立てて、最後にファンドを設立してさまざまな会社に投資をしながら、投資先間で情報共有を徹底して、仮説検証を高速に回していくという戦略です。

gumiが上場したのは2014年ですが、そのとき、次の新しい事業の軸を作っていこうと考え準備したのがモバイル動画でした。

当時、いまから3年から5年後にモバイル動画が来ると考え、そのときに勝つ会社というのは、スマホファースト、つまりスマホ「ならでは」の動画コンテンツ、体験、UI/UXを一から作ったところと仮定して、gumi venturesという20億円規模のファンドを通じて投資をしました。ここからは動画レシピアプリ「クラシル」など多くの成功したスタートアップが生まれました。

ブロックチェーンの話にも繋がるのですが、私が信じているのは、新しいテクノロジーが出て来ると、そのテクノロジーじゃなければできないコンテンツ、体験、UI/UXというのを一から構築したところが成功するのだろうということです。

スマホゲームのときも、多くの企業は最初、家庭用ゲームやガラケーのゲームをスマホに移植しようとしましたが、そういったものは成功せず、結局ヒットしたのはスマホの機能を最大限に活用したパズドラや「モンスターストライク」のような、スマホでなければできないゲームでした。

私はブロックチェーンでもまったく同じことが起こると考えていて、重要になってくるのはブロックチェーンファーストで、ブロックチェーンならではのコンテンツ、体験、UI/UXを一から発明したところが成功していくと思っています。

でも、いま改めてプロジェクトを見渡すと、ブロックチェーンでなくてもできるプロジェクトが多く見受けられます。

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