はじめに

高金利はインフレの裏返し

相場の値下がりリスクが限られるかを見極めることが肝心なのは、もちろん高金利通貨への投資に限ったことではありません。ただ敢えてそれを高金利通貨への投資について確認するのは、基本的に利回りの高い通貨、高金利通貨ほど相場の値下がりリスクも大きいからです。

経済学の常識からすると、金利が高いということは、高いインフレ率の裏返しであり、その「高いインフレ率」とは、高い物価上昇、すなわち「物(モノ)の価値が高い」ということですから、相対的には通貨価値の下落を意味するものになります。

実際にチャートで確認してみましょう。図表は代表的な高金利通貨の一つであるメキシコペソ/円のチャートですが、2006年には11円を上回って推移していたのが、2022年4月末現在では6円台での推移となっています。約16年の間に、高値がほとんど半値に近いところまで下落したわけです。

【図表】メキシコペソ/円の推移 (2006年~)

(出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)

これを米ドル/円にたとえると、16年前には150円以上で推移していたのに、今では上がっても80円すら上回れなくなったといった具合でしょうか。そんな米ドル/円には現実的にありえないことが起こっていたのが高金利通貨なのです。

それなのに、はたして「高金利通貨は、キャピタルゲインは期待せず、金利差狙いで中長期保有」ということになるでしょうか。「キャピタルゲインは期待しない」としても、相場の値下がり損、つまり「キャピタル・ロス」はインフレ率の高い物価高の高金利通貨こそ警戒する必要があり、相場下落の程度によっては、せっかくの金利差収入も台無しになるリスクがあるわけです。

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