はじめに

株主還元の意向が高まる現在の市場は、長期投資に追い風か?

「貯蓄から投資へ」のメッセージが再度フォーカスされる中、直近の株式市場の動きはどうなっているのでしょうか。5月は2週目にかけて決算が集中し、多くの企業が22年3月期の通期決算と23年の見通しを発表しました。

目立ったのは、自社株買いや配当などの株主還元策です。これまではマーケットが低金利下で成長株を選好していたのに対し、金利上昇局面に入り、相対的にバリュー株の関心が徐々に高まっており、株主還元を積極的に行う企業は下支えとなっているケースもあります。

貯蓄から投資を促す観点でいうと、この動きは追い風といえるのではないでしょうか。約320兆円とされる企業内部の現預金が株主還元に利用され、投資家に利益が転嫁されることで、その資金が再投資ないしは消費に回り、更なる還元・経済活性化と繋がるようなサイクルができるムーブメントの一歩目とも捉えられるでしょう。

今年は、「Sell in May(5月に株売れ)」の格言通りの不安定な相場展開となっております。しかし、日本株に関しては、金融緩和策を継続しているほか、経済面でもインバウンドの再開など、これから回復の動きが期待できます。相場環境の向かい風が想定的に小さいともいえるため、5月後半から6月にかけての日本株式は短期的な下落からの下値堅めとなるか、注目したいと思います。

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