はじめに
所得税と住民税にある「半年の溝」
所得税は「超過累進税率」という階段式に変動する税率のため、税金がかかる分の金額を減らす=控除を増やすことで節税になります(詳しくは、前回の記事をご覧ください)。
そして、所得税で使えた控除は、住民税にもちゃんと効いてきます。節税のポイントは、「所得税から芋づる式に住民税が計算される」です。所得税の知識を備えて節税することで、住民税も節税できるのです。
例えば、扶養控除は、所得税で38万円が所得(もうけ)から差し引かれますが、住民税でも同じように33万円の控除が受けられます。住民税の税率は一律10%なので、正しく控除の知識を身につけておけば、33,000円お得になります。
ここで注意すべきは、所得税は1年分の計算をして、年末で精算または翌年3月の確定申告で精算するのに対して、住民税は役所で計算した納税額が書かれた納付書が、翌年の5月頃に送られてくる、つまり半年遅れになるという点です。
会社員の方は、納付書に書かれた1年分の税額を6月から翌年5月までの1年間で納められるように、会社が毎月一定額(最初の6月だけちょい多め)を給与から引いて、納付しておいてくれます。5月までと6月・7月以降の「住民税」の金額が違いますので、ぜひ給与明細で確かめてください。
5月までの金額は、2020年1月〜12月の1年間の給与をもとに計算されたもので、6月以降の金額は、2021年1月〜12月の1年間の給与をもとに計算されたものです。このインターネット全盛時代に半年前なんて、えらい前の給与がベースになっていますよね?
仮に2021年は月収100万円だったのに、2022年は月収10万円になったら、さぁ大変! 月収100万円時代の収入を基本とした住民税が2022年の6月から徴収されるので「え、私の手取りほぼゼロ!?」なんてことが起こります。 なんて……嘆かわしい!