はじめに

65歳で完済を目指すならいつ、いくら繰り上げる?

繰上げ返済を考えるとき、多くの方が「働いている間に返し終わりたい」と考えるかと思います。退職して年金生活に入ると、より住宅ローンの返済の負担感が増えるためです。ご相談者は現在50歳とのことですので、完全リタイアの65歳まであと15年とします。住宅ローンの残期間が30年ですので約15年返済期間を短縮する必要があります。

住宅ローン残債1,980万円・残期間30年・固定金利1.5%・月々返済約6万8,000円/月という条件でシミュレーションを作成すると、15年経過後に住宅ローンの繰上げ返済用に約1,100万円を準備することができれば、65歳で完済できる計算となります。

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ただ、将来に向けての資金計画は、住宅ローンの返済だけではありません。教育費準備や老後準備と並行して計画を立てる必要があります。

大学入学までに460万円が必要に

では、教育費準備について見ていきましょう。

希望の進路について特記がないので、高校までは公立、大学は私立文系と仮定します。日本政策金融公庫による令和2年度「教育費負担の実態調査結果」によると、私立大学文系の入学費用の平均が95万1,000円、在学費用の年間の平均が152万1,000円となります。

現在の家計の収支で教育費として準備できるのが60万円/年とすると、初年度で187万2,000円、2年目以降は92万1,000円の貯蓄取り崩しとなり、大学4年間合計では463万5,000円となります。すなわち、大学入学までに大学教育資金460万円ほどが必要ということになります。

老後資金はどのくらい準備すればいい?

最後に老後資金準備を考えます。

ご相談者(夫)が将来の受給できる公的年金が15万円/月程度とのことですので、妻が国民年金のみで満額の約6万4,000円/月と仮定すると、世帯合算で月々約21万円/月の受給額となります。

総務省の「家計調査年報(家計収支編)令和元年(2019年)」によると、夫婦2人世帯の老後生活費の平均は27万1,000円/月となります。この数字はあくまで平均なので、ご相談者の現在の生活費をベースに住宅ローンや教育費を差し引くと、25万円/月となります。お子さまが経済的に独立すれば、もう少し生活費は下がるかもしれません。今回は、仮に65歳以降、生活費25万円/月程度必要だと想定すると、年金受給額と差し引き月々約4万円程度を取り崩す計算となります。

もし65歳から90歳まで生きると仮定すると、【4万円/月×12カ月×25年=1,200万円】で、65歳までに約1,200万円程度の準備をする必要があります。

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