はじめに
知識やスキルをまとめてみる
もうひとつ棚卸ししておきたいのは、あなたの業種・職種ならではの知識やスキルです。自分が学んできたことを体系化してマニュアルをつくったり、資料をまとめて虎の巻を作成することで、知識やスキルを継承できます。
自身のキャリアを整理し、課題を発見することによって、リストラ対策、転職、起業・独立にも活かすことができます。
僕は前職を辞める際、学んできたことを振り返って引継ぎ書をつくり、独立後にさらにそれを発展させて「人事の学校」という人事担当者の養成講座を開講しました。
この講座では、全12回のカリキュラムを組み、人事制度のつくり方や採用のやり方、キャリアプランの考え方など、人事担当者にとって必要な基礎をお伝えしています。
人事という領域には、人員計画・採用・配置・任免・等級・職位・評価・給与・規定・労務・教育など多岐にわたる分野があり、それぞれが密接に関連しています。
ところが、ある調査では「人事担当者を育成する仕組みはあるか」という問いに対して、「ある」「どちらかというとある」と答えた企業の割合は、わずか
16.4%。8割以上の企業では「人事担当者の育成の仕組みはない」という状況だったのです。
そんな状況に危機感を覚え、2009年に「人事の学校」を始めたところ、商社、流通、IT、電子機器、住宅、アパレル、マスコミ、エンターテインメントなど、さまざまなジャンルの経営者や人事担当者が企業人事や人事制度の基礎を学びに来てくれるようになりました。その数は、約13年間で延べ4000人以上になりました。
あなたの業種や職種でも、実は育成の仕組みやマニュアルがなかったりしませんか?
人材育成は、50代における重要な任務です。
一人前の寿司職人になるには、「飯炊き3年、握り8年」と言われています。親方に弟子入りし、皿洗いから下積みを重ね、一人前になるまで10年以上かかる世界です。ところが、3ヶ月で寿司職人を育てるというカリキュラムが登場し、その卒業生が店を開いてすぐに、有名なミシュランガイドに掲載されるというニュースが話題になりました。
自分が20年、30年かけて身につけてきた知識やスキルをマニュアル化することによって、後輩はもっと早く成長できるかもしれません。人材育成は、会社に対する多大な貢献になります。そのニーズによっては、転職や独立・起業にも活かせます。
下記の「人事の学校」のカリキュラムも参考にしていただき、これまで学んできたことを振り返ってカテゴリーごとに体系化してみてください。