はじめに
年収600万を維持するコンピテンシー
下記の表は、3等級レベルと言われる、いわゆる課長クラスのコンピテンシーです。求められるレベルは、5~10名単位のチームを率いて、組織の結果を出せるマネジメント力です。
目標設定、計画立案、進捗管理は、第3章でお伝えしたタスクマネジメント、組織のPDCAを回せる力です。個人のPDCAを回せる力は、さほど価値は高くなく、できて当たり前。組織を率いて目標設定、計画立案、進捗管理ができることが重視されます。
人材育成は、ヒューマンマネジメントにおいて最も重要なポイントです。これらのコンピテンシーがちゃんとできれば、年収600万くらいになります。
50代はこの3等級から次の4等級の人が多いのですが、実は課長であってもこれらのコンピテンシーを満たしていない人が少なくありません。それはすなわち、黒字リストラの候補になりやすい「パフォーマンスより年収が高い人」ということになります。
また、過去を見る「後払い型」給与から、今を見る「時価払い型」に変わった場合、あるいは、転職した際に、年収が大幅に下がる危険性があります。
リストラを回避し、現在の年収を維持・向上させるためには、どうしたらいいのか。
ここからは、特に重要なコンピテンシーについて詳しく見ていきましょう。
(1)「計数管理」は、どんな会社に行っても通用する
「計数管理」とは、会社に関するB/S(バランスシート=貸借対照表)やP/L(プロフィット&ロス=損益計算書)などの知識を有し、財務的視点・計数的視点から物事を捉え、分析することです。P/Lは、特に必須となります。
ビジネスをする以上、お金と無縁ではいられません。チームのタスクマネジメントをするためには、ある程度の数値管理ができることが絶対の条件となります。
管理職でなくても、目標設定は的確なのか、プロジェクトの予算は適切なのか、チームが目標を達成するための計画は大丈夫なのか、余計にお金を使いすぎていないか、売上と利益は確保できるか、原価や粗利は大丈夫か、といった視点が必要になってきます。
計数管理がしっかりできる人は、自社ではもちろん、会社を移っても年収600万を維持できます。なぜなら、会社が変わっても、やることは一緒だからです。
(2)「問題分析」は、50代の武器になる
「問題分析」とは、情報収集したものを的確かつロジカルに分析できることです。これも重要なスキルで、50代は特に物事を俯瞰する力が大事になります。僕らは長いこと働いてきたのですから、「木を見て森を見ず」にならないように「森」を見なくてはいけない立場です。森を見るにはどうしたらいいのか、というのが分析ツールを使ったロジカルシンキングです。
SWOTや3C、5フォースなど、さまざまなフレームを使ってロジカルに物事を捉え、何が重要で、何が重要じゃないのかを俯瞰して見極める。年収600万を維持しようと思ったら、こうした問題分析のスキルも不可欠です。
「問題の本質って何だっけ?」「そもそもの目的って?」と、物事を網羅的に見られる力はとても重要です。それをフレームに当てはめて考えられるスキルも持っておくべきです。
上司が年下の場合、突破力はあっても、俯瞰力は弱いかもしれません。物事の全体を見る力は、長く働いてきた50代のほうが持っている可能性が高いです。
「なんとなく俺の勘がそう言っているんだ」と言うだけでは話を聞いてもらえませんが、「SWOTや3C、5フォースで分析した結果、こうなんだ」とロジカルに説明すれば、年下上司も耳を傾けてくれます。長年の経験で「これはおかしいな」と勘が働いたとしても、仮説を立て、それを検証し、構造化・体系化した意見を伝えなくてはいけません。
プレゼンテーションでも、分析した結果をしっかり伝えることが重要です。ここが甘い人が多いので、ロジカルシンキングを身につければ、50代ならではの武器になります。