はじめに

長期投資をするときのメンタル

:株価が下がると「損切りしたほうがいいのかな」と考えてしまいますが、そういった方へメンタル面を含めたアドバイスはありますか。

 ウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO 柴山和久氏

柴山:まず、「投資の内容を二つに分けて考える」といいですね。

「長期投資のためにいろいろな銘柄、国、分野に分散して投資を行っていく部分」と「特定の銘柄、国、分野に集中して投資を行っていく部分」。その二つが一人ひとりの投資には混ざっていると思いますが、ここを完全に分けるのが重要です。なぜかというと、成功するための秘訣が全く逆だから、ですね。

長期投資は持ち続けることが重要です。それに対して、個別の銘柄については、「このまま持ち続けていれば上がるだろう」と言えるかというと、そうとも限らないわけです。個別の銘柄や特定の何かに対して投資をするときは「安いときに買って、高くなったら売る」タイミングが重要です。成功するためのポイントがまったく逆なので、混ぜると危険です。この二つを頭の中できれいに切り分けて、長期投資の部分はじっくりと構える、個別の銘柄に投資している部分は、あくまでもタイミングを重視して、「ここはリスクをとるべきではないな」と思ったら、より安全な現金に換えていくなど明確に切り分けることで、精神的にだいぶ楽になると思います。

投資の失敗談

柴山:振り返ると投資の失敗はたくさんしています。

「ブランドで選んで失敗した」ことがありますね。とある金融機関のブランドがついているから大丈夫だろうというのと、過去のパフォーマンスが一番よかったという理由で銘柄を選び、失敗しました。これは、今だと一番やってはいけないことだと知っているんですが、過去のパフォーマンスを見て判断してはいけないんですね。

ありとあらゆる金融商品のパンフレットに「過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを保証するものではありません」と書いてあるんですけど、過去のパフォーマンスを見て、それが一番良いものだったので選んでしまったことがあります。これはダメでした。

いろんな失敗をしたあげくに、投資や金融に関する理論を勉強して、実際の資産運用や投資のパフォーマンスをきちんと分析する。それが偶然良いパフォーマンスになっているのか、偶然じゃないのかをビジネススクールで勉強しました。そして、「長期・積立・分散が一番合理的である」ということに至って、それ以降はそうした投資しかしていないですね。でも、長期・積立・分散に至るまでは紆余曲折がありました。

 イベントでは2018年のS&P500の推移も振り返った

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