はじめに
米国の経済成長が続く理由
米国経済が成長を続けている理由をブレイクダウンしていくと、まず、金融政策・財政政策の運営が卓越したレベルで行われていることです。中央銀行にあたるFRBの歴代議長を見ていくと、グリーンスパン氏、バーナンキ氏、イエレン氏とみな経済学修士を持つ経済のスペシャリスト・学者です。今のパウエル議長は弁護士出身ですが、イエレン氏が議長を務める時代からFRB理事として経験を積んでいました。
そして前FRB議長であるイエレン氏は現在、米国の財務長官(日本の財務大臣に相当)を務めています。経済政策の最高責任者に、経済に精通した人物が当たる−−当たり前のことのようにも思われますが、日本では必ずしも行われていないことです。
しっかりとした経済運営のもと、イノベーションが続々誕生してグローバルにサービスを展開しているのも米国の特徴です。
私たちの周りの便利なサービスを思い起こしてみると、iPhoneやiPad(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Facebook(メタ・プラットフォームズ)、Netflix(ネットフリックス)、Windows(マイクロソフト)、Tesla(テスラ)などのIT関連サービスに加えて、バンドエイド(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、VISAカード(ビザ)、Mastercard(マスターカード)、マクドナルド(マクドナルド)、コカ・コーラ(コカ・コーラ)など、私たちの身の回りの様々なサービス・製品が米国企業発のものです。これらのサービスは米国だけでなく世界中で展開されており、世界経済が成長する恩恵を受けやすいこともポイントです。
もちろん過去に起こったことが未来にも起こると言い切ることはできません。ただ、現時点では長期的に投資する先として米国は引き続き非常に有効な投資先になる可能性が高く、一時の下落にへこたれずに、NYダウ平均やナスダック総合指数、S&P500などの米国株価指数に長期的に投資することはこの先も長い目線で報われる可能性が高いのではと考えます。
最後に投資の神様として知られるウォーレン・バフェットが投資家に勧めた投資法についてご紹介して終わりたいと思います。
「プロではない投資家の目的はパフォーマンスの良い銘柄を選ぶことではありませんし、それを実際にすることは本人にもその助言者にも難しいでしょう。むしろ大切な目的は概してうまくいきそうなビジネスに横断的に投資することです。S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資することによりこの目的は達成できるでしょう」
(出所)2013年のバークシャー・ハサウェイの「株主への手紙」の一部を筆者が和訳