はじめに
中小型株ファンドは付加価値を出しやすい
アクティブファンドの付加価値は、ベンチマークであるインデックスを上回るリターンを実現することです。つまり「アルファ」の追求であり、アルファの高いファンドほど、アクティブファンドとしては優秀な運用が行われたことになります。
同レポートでは、国内株アクティブファンド444本のアルファを推計しており、その結果、アルファの推計値がマイナスになったファンドが、444本中219本もあったことが示されています。
この「アルファの推計値がマイナス」になったアクティブファンドの運用パフォーマンスは、インデックスファンドのそれに劣ると考えられます。
ちなみにアルファの推計値が高かったアクティブファンドは、中小型株を中心に投資するタイプが多く、その理由として「中小型株の運用では、運用担当者による投資対象先の調査と銘柄選定による付加価値を出しやすい」と指摘しています。
ただ、大型株でも投資対象銘柄を絞ったファンドであれば、高いアルファを出せる可能性があると考えられます。最近は「厳選投資」を打ち出して、20銘柄、30銘柄という少ない銘柄数で運用するアクティブファンドも増えてきています。この手のファンドは、組入銘柄数が少ない分、運用担当者の銘柄選択眼によって付加価値を高められるものと考えられます。
ちなみに、アルファの推計値がマイナスになったファンドのうち、「有意にマイナス」つまり誤差で生じたとは思えない、何かしらの意味があってマイナスになったと推測されるファンドが32本あり、これは大手資産運用会社が運用しているファンドが多くを占めたと指摘しています。