はじめに

合理的な信託報酬のファンドを探す

信託報酬の設定に関する指摘もあります。それは、信託報酬などのコストを控除する前のリターンがパッシブファンドを上回っても、その成果がコストに相殺されていて、結果的に付加価値を受益者に届けられていないファンドがあるということです。

この点については、資産運用会社内でファンドのパフォーマンス測定を厳密に行う必要がある点が指摘されています。

具体的には「信託報酬等のコスト控除後のパフォーマンス検証が適切に行われていない」、「コスト控除前でわずかな超過リターンが出ていれば『問題なし』と判断され、その超過リターンを上回る信託報酬を徴収することの問題点が組織内で検証されない」、「分配金再投資の基準価額をTOPIXの配当抜き指数と比較しており、その不合理に気付かないまま、10年以上の長期にわたり『超過リターンが出ている』と誤認」といった点が指摘されていました。

なかにはポートフォリオの70%をパッシブ運用、残り30%をバリュー株のアクティブ運用というファンドにおいて、100%アクティブ運用のファンドと同じ信託報酬を設定していたものもあったそうです。これは明らかに信託報酬の取り過ぎといっても良いでしょう。

同レポートの指摘を見る限り、国内株アクティブ運用のファンドで、良好なパフォーマンスが期待できるファンドを選ぶことの難しさが分かります。ただ、指摘されている点をスクリーニングする際の条件としてチェックすれば、付加価値の高いアクティブファンドを見つけられる確率が高まるのも、また事実なのです。

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