はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ
今回の相談者は、32歳、会社員の男性。障害者雇用と障害年金で生計を立てる相談者。いつ働けなくなるかわからないため、毎年100万以上の貯蓄に励んでおり、70代で退職する際には資産1億円を目指しているといいます。目標を達成するためのアドバイスは? FPの薮内美樹氏がお答えします。


メンタルの障害を持ち、障害者雇用で事務職として働いています。

給料は少なく、いつ体調を崩し働けなくなるかもわからないため貯金(年間収支100万円超をほぼ毎年)をするようにしています。障害年金(7万円/月)を受給しています。上記のハンディキャップのため結婚は諦めており、恐らく生涯独身だと思います。

現在実家住まいで毎月3万円を家に入れています。将来両親が亡くなった場合、実家が広すぎるため、賃貸に住み替えて生活水準を下げようと考えています。そのため現在、自宅のランニングコストの計算と、家事等の訓練をできる範囲でやっています。

現状、インフレと円安が進んでいるため、出来ればリタイア時(75歳くらい?)に1億円以上の資産を目標にしています。今後、自活のみのやりくりで老後資金をどれくらい工面すれば何とかやっていけるでしょうか。またそのために何をすればより資産状況を良く出来るか教えてほしいです。

またあまりに時代の変化が速すぎるため、可能なら40代以降に大学等にリカレント出来ればと思っています。そのための資金を貯めることも可能かどうかご教示願います。ご助言の程、何卒宜しくお願い致します。

【相談者プロフィール】
・男性、32歳、会社員、独身
・住居の形態:親の家で同居(神奈川県)
 父親:会社員(定年後再雇用)、兼業農家
 母親:銀行パート
 祖母:専業農家と年金受給者。介護の必要なし。
・毎月の世帯の手取り金額:約22万円(給与手取り15万円+年金7万円)
・年間の世帯の手取りボーナス額:約64万円
・毎月の世帯の支出の目安:約11万円(108,500円)

【毎月の支出の内訳】
・住居費:3万円(家賃)
・食費:2万5,000円
・教育費:6,000円(オンライン英会話)
・保険料:3,500円
・通信費:2,000円(スマホMVNO回線)
・お小遣い:3万円
・その他:1万2,000円(美容院代3,000円とストレッチ整体代4,000円、日用品代5,000円)

【貯金と投資】
・財形:3万円/月
・持ち株:1万500円/月
・iDeCo:1万2,000円/月
・純金積立:1万円/月
・投信8万5,000円/月
・賞与時(年2回)の貯金と投資額は下記の通りです。
・財形:5万円/回
・持ち株:8万円/回
・ボーナスからの年間貯蓄額:20万円

【資産状況】
・現在の貯蓄総額:330万円
・現在の投資総額:1,196万円(投信:526万円、外貨建て保険400万円、株式189万円、純金積立81万円)
・老後資金:公的年金7万円/月(現在受給中)、退職金無し

薮内:今回は、メンタル障害をおもちで、これからの健康状態や収入に不安を抱えておられる方からのご相談です。現在、実家暮らしではありますが、ご自身にかかる生活費は負担し、生活力を身につけるべく、家事をするなど、親なき後に向けた訓練をされておられるそうです。ご相談内容から、ご相談者が、危機感をもって、この先、想定されるリスクをどう乗り切って生きていくか、真剣に検討されておられるご様子がうかがえます。インフレリスクに備える老後資金計画について、キャッシュ・フロー表をもとにアドバイスさせていただきます。

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