はじめに

現在の生活費をベースに、老後に必要な生活費を計算してみましょう

将来の不透明性を案じて、障害年金を含め、年間約200万円を貯蓄や投資にまわしておられます。退職までに1億円という目標も設定されており、株式や投資信託、純金積み立てや外貨建て保険など、資産や通貨を分散してリスクを抑えた運用にも取り組んでおられます。

支出についても、貯蓄を差し引いた残りを生活費にあてられているようで、使途不明金はありません。費目ごとにみても、特に気になる支出はなく、バランスのとれたやりくりをされており、計画を立ててしっかりお金の管理ができる方だとお見受けします。

では、まず、老後資金計画を立てるにあたり、将来の生活費を予測してみましょう。現状、ご相談者にかかる生活費は、自宅暮らしで11万円弱です。親なきあと、仮に、自宅に住み続けた場合の住居費は、家賃としての3万円は不要になりますが、ランニングコストとして、固定資産税や火災・地震保険料が必要となります。また、水道光熱費や家電の買い換え代などの支出も別途、かかってきます。

【図1】は、現在の生活費をもとに、親なき後、おひとり暮らしになられた場合の現役中の生活費と老後の生活費を試算したものです。現状に比べ、1.5万円前後増えることが予想されます。

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インフレ率を考慮した老後の生活費はいくらになる?

ご相談者が懸念されておられるように、インフレを考慮して老後資金計画を立てることは大切です。特に、何十年も先の生活費となると、インフレ率をどう読むかで、貯蓄目標額も大きく変わってきます。

政府や日銀が目標としているインフレ率は2.0%です。過去20年間は、デフレ傾向にあり、ほとんど物価は変わらず推移してきましたが、2022年度の日銀の予測ではインフレ率は1.9%(天候要因で値動きが激しい生鮮食品を除く)となっています。今年は、コロナ禍での生産・物流の停滞やロシアへの経済制裁によるエネルギー価格の高騰、欧米との金利差による円安など、様々な要因が絡んでいることもあり、2023年度、2024年度のインフレ率は1.1%程度に落ち着くとの見通しです。

ご相談者が想定されておられるリタイア時期が75歳とすると老後がスタートするのは43年後です。物価上昇を加味すると、現状の生活費から計算した老後の生活費12万6,000円の将来価値はいくらになるのか計算したものが【図2】です。生活費全体にインフレ率をかけて計算すると、75歳時点での生活費は、インフレ率0.5%で15万6,000円、1.0%で19万3,000円、2%で29万5,000円となります。

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75歳~100歳までの25年間の、老後の生活費総額を計算すると、インフレ率を加味しなければ約3,800万円ですが、0.5%で約5,000万円、1.0%で約6,550万円、2.0%で約1憶1,348万円となり、トータルでみると、より大きな金額の差が出ることがわかります。

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