はじめに

NZドル「キウイ」

NZドルは豪ドルと同じオセアニア通貨と分類されながら、じつは豪ドルとはかなり特色が違います。同じオセアニア通貨でありながら、豪ドルとの決定的な違いと言えるのは、豪ドルは資源輸出が豊富といった意味で「資源国通貨」ですが、NZドルは資源輸出が少ないので、その意味ではじつは「資源国通貨」と考えるのは間違いだということです。

NZの輸出の主力は穀物・乳製品であるため、NZドル/米ドルと乳製品価格と重ねると、中長期的に一定の相関関係が続いたことがわかるでしょう(図表5参照)。豪ドルのパートで説明したことと合わせると、代表的な資源国通貨である豪ドルは、代表的な資源価格である原油相場などの影響に注目し、一方穀物・乳製品が輸出の主力であるNZドルは、乳製品価格などの影響に注目するといった具合に、同じオセアニア通貨でも、影響する対象を区別するのが分析の基本であるということを把握しておきましょう。

【図表5】NZドル/米ドルと乳製品価格(2011年~)

そんなNZドルの通称は冒頭でもお話ししたように「キウイ」ですが、もう一つの特徴は、同じオセアニア通貨の豪ドルとは、一方向への中長期的な展開は限られたということです。要するに、オージー/キウイの相場は5年、10年といった長い期間で見ても、一定のレンジ内での推移が基本となってきました。

これは、為替相場の究極的な決定要因は物価であり、その観点からすると隣国同士の豪州とNZの物価格差は限られることから、為替相場もレンジ内での推移にとどまったということではないでしようか。

さて、最後にNZドルを取引する上での注目イベントについて確認したいと思います。NZドル、「キウイ」の番人である中央銀行は、Reserve Bank of New Zealandですから略称はRBNZになります。

金融政策会合の開催ルールは、隣国の豪州とは異なります。豪州の中央銀行であるRBAは、金融政策会合を原則毎月開くのに対し、RBNZは6~7週ごとに開催し、また現地の夏にあたる12月と1月は夏休みとなります。ちなみに2022年に計画されたのは年7回でした。豪州の中央銀行であるRBAが2022年に計画した金融政策会合が11回だったのに対し、かなり少なくなりました。

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