はじめに

──おふたりとも過去に痛い失敗があって、今の投資スタイルにたどり着いているのですね。失敗を避けるコツはありますか?

柴山:リスクとリターンはコインの表裏ですから、リターンだけでなくリスクもきちんと考える必要があります。また、リスクを気にしているつもりでも、特定の国の株に集中していたり、特定の資産に偏っていたり、無意識のうちにリスクをとりすぎているケースもあります。

中野:値上がり相場ではバランス型投信のような値動きが小さい商品はつまらなく感じてしまうものです。人間は欲が深く、急騰している株などを見るとつい飛びつきたくなってしまいますし、他のファンドが調子良く上がっているのを見て、乗り換えてしまう人もいます。短期的な利益を狙う人ほど資金を集中させてしまう傾向があり、これも失敗の原因になります。

柴山:リスクの取りすぎを防ぐためには、投資を始めたときの目標を思い出すことが大切です。習い事をイメージすると良いかもしれません。投資を始めるとすぐにリターンがほしくなるのですが、たとえば水泳はすぐには上達しません。泳げるようになりたいと思ったら目標を立てて、まず25メートル泳げるようになり、練習を続けるとさらに長く泳げるようになっていきます。急に上達することはなく、練習してもなかなか上達しないと感じられる時期もあるでしょう。投資もそのような長期的な視点を持って、継続していくことが大事だと思います。


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