はじめに

基礎控除を超えたら少しずつ贈与で対策

計算式に当てはめてみたら、「まずい、ちょっと超えそう……」という方に朗報です!

事前に準備しておけば、相続財産は少しずつ減らしていくことができます。それは「生前贈与」という方法です。つまり、生きているうちに法定相続人に渡しておいて、事前に財産を引き継いでもらうのです。

この時に注意すべきは「贈与税」です。そう、相続をするときだけでなく、生きている間に財産を渡すだけでも税金がかかるのです。ただし、この贈与税にも基本となる控除額があり、1人の相続人(引き継ぐ人)につき110万円までは贈与税がかかりません。

子どもが2人と孫が3人いれば、1人あたり110万円、5人に550万円の財産を渡しておくことができます。きっちりとお金の流れがわかるように、銀行振込などで子や孫それぞれの口座に渡しておきましょう。

ただし、相続税は亡くなった日から3年以内の贈与はなかったことにリセットして計算する、というルールがあります。亡くなる直前に慌てて贈与をしても意味がありませんので、「まだ元気だからいい」ではなく、元気なうちに早めの贈与が安心ですね。

また、死亡保険金なら一人当たり500万円まで非課税で受け取れるルールもあるので覚えておきましょう。

お盆に話し合おう!

とはいえ、相続というのはデリケートな話です。お盆に帰省して久しぶりに会う家族にいきなり「相続財産は何があるの?」と尋ねると、気分を害する方もいるかもしれません。また、相続は「争族」と書かれることもあるほど、引き継ぐ財産があるとわかった途端に仲のよかった家族が一生口を聞かなくなるというのは、本当によくある話です。財産を残す方にとっても、自分がいなくなった後に予期せぬ争いが起こることは望まないと思います。また、なにも相続対策をせずに、想像以上の莫大な相続税を払わなければならないこともあります。せっかく愛する家族に残せる財産なら、より多くを引き継がせたいと考えているのではないかと思います。

最近は「終活」という言葉も一般的になり、早いうちから準備するという方も増えています。「エンディングノート」という便利なツールもあります。このエンディングノートの中には、必ず「財産目録」という財産の一覧を書き出すページがあるので、相続の話をいきなり切り出しにくければ、「終活」という言葉でやわらかく誘導してみるのも良いかもしれません。

帰省を機会に、そんな話題も出してみてはいかがでしょうか。

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