はじめに

専業主婦の場合、月額1万2500円の負担増になる!

では、実際に厚生年金に入ると、具体的にどうなのか? 専業主婦(夫)の例にとって説明をしていきましょう。

専業主婦(夫)の場合、国民年金の第3号被保険者になっていたので、実質、保険料は支払っていません。夫が厚生年金を支払っていますから、それに含まれます。つまり、一度も会社員として働いたことのない専業主婦(夫)の場合、高齢になったときに受け取れる年金は、基礎年金だけになります。

改正によって厚生年金に加入すると、厚生年金の保険料が給与から引かれることになります。厚生年金の保険料は、会社と折半になりますので、半額負担です。さらに、会社の健康保険組合に加入することになるため、保険料の負担も発生します。

月収8.8万円の場合は、厚生年金と健康保険の両方で月額1万2500円の負担が増える計算です。

年金が増えて、社会保障が手厚くなる!

「値上げラッシュで家計が厳しい上に、パートの手取りも減ってしまうなんて!いいこと一つも無い!」と、憤慨しないでください。

じつは、長い目で見ると、とてもお得なのです。

たしかに手取りは減ってしまいますが、将来の年金額が増えるのですから、けっして損ではありません。

なぜなら先ほども述べましたが、一度も会社員として働いたことのない専業主婦(夫)の場合は、年金保険料の本人負担はありませんが、受け取れるのは国民年金だけですので、受給額は少ないです。国民年金を満額支払ったとしても、将来受け取れる年金額は月額約6万5000円です。ところが厚生年金に加入できれば、将来の年金額が上乗せされます。

先ほどの例と同じ、月収8.8万円で、10年間加入していた場合、厚生年金が月額4600円(年間5万5200円)上乗せされます。20年間の加入では月額9000円(年間10万8000円)の上乗せになります。

さらに会社の健康保険になるので、もし病気やケガで働けなくなったときには、傷病手当金を受け取ることもできます。傷病手当金は、最大通算1年6ヶ月受け取ることができる制度です。また出産のときの収入減にも出産手当金、産前産後休業などの制度があり、保障が充実します。

目先のお金だけを見るとデメリットが大きく感じますが、トータルで考えるとメリットの方が大きいのです。

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