はじめに

iDeCoやNISAといった国の制度への関心が高まる一方、会社の制度にはあまり興味がないという方も少なくありません。

今回は、会社員約800万人が加入する企業型確定拠出年金(企業型DC)のメリットと、その活用法について解説します。


企業型DCのメリットがわかりにくい訳

企業型DCは会社の制度なので、入社すれば人事から必要書類が渡され、「ここに記入して、いつまでに提出して」と指示され、なんだかわからないけれどやらなくてはいけないこととして加入します。

企業型DCは、会社が従業員に対し掛金を拠出しますが、このお金を従業員が手にすることはできません。直接会社が開設した確定拠出年金口座に入金されるため、「お金をもらっている感」が希薄です。

また「確定拠出年金口座」の残高を見るためには、自分でそのアカウントにアクセスしなければなりません。IDとパスワードは会社から支給されますが、これをなくしてしまう人も少なくありません。

自身のアカウントにアクセスできないという方は、当然運用先も自分で選んでいません。加入者が何も手続きをしないと会社が指定する運用商品が自動的に設定され、以後はその商品で運用が継続されます。指定される商品は会社によって異なりますが、だいたいは定期預金です。

定期預金に置きっぱなしにしているお金は、増えることはありません。やがて定年を迎え、DCの加入資格を失う段となり資金の受け取り手続きについて会社から説明を受けます。確定拠出年金の受取方には複数の選択肢があり、それぞれ課税の仕組みが異なるのですが、ここでも無関心であるがゆえに必要以上の税金を支払ってしまう人もいます。

これでは、「拠出時」「運用時」「受取時」で得られる確定拠出年金本来のメリットをまったく享受できていないことになります。特に、DCに想定利回りという従前制度と同水準を得るために設定された運用利回りが設定されているような場合は、想定利回りを下回れば、結果、従前制度を下回る受け取り額になってしまいます。

それでもiDeCoよりお得といえる企業型DCのポイント

給与には所得税、住民税、そして社会保険料がかかります。この負担率は報酬額によって異なりますが概ね20%だとすると、1万円の給与に対し手取りは8,000円だということになります。一方会社が拠出したお金を確定拠出年金の掛金として受取る場合、そこには所得税も、住民税も社会保険料もかかりませんので、1万円は1万円まるまる将来への貯蓄として受取ることができます。

企業型DCの掛金は、そもそも税金がかからないので、iDeCoのように年末調整で申請して税の還付を受ける必要もありません。企業型DCの場合、会社がすべて面倒を見てくれます。加入時に必要な書類も、掛金が変更された時の書類もすべて会社がお膳立てをしてくれます。記入しなければならない書類があったとしても分からなければ教えてくれます。

企業型DCでは、入社時の口座開設費用、口座の維持費も会社が負担してくれます。iDeCoであれば掛金からそれらの手数料が差し引かれます。そして何よりも、会社が拠出してくれる掛金は給与の上乗せの収入ですから、本当にありがたいお金です。

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