はじめに

300万円以下は一律雑所得になるのか

人気の副業と言えばプログラマーやライター、フードデリバリー、クラウドソーシング、転売などが挙げられます。転売は売買を繰り返すため収入300万円を超える人は多いかもしれません。しかし、それ以外の業種では収入300万円となると一握りとなり、今回の対象になるケースが多いと考えられます。

副業は収入300万円以下であれば一律雑所得とされてしまうのでしょうか? これに関しては一概にそうとは言い切れない面もあります。

まず今回のパブリックコメントは「通達」であるということ。通達とは、行政庁が実務を行う際、法令ではカバーしきれない細かい部分について補足するための内部規定のようなもの。法律ほどの強い拘束力はありません。ただし実際には税務署は納税者から質問があれば通達に沿って返答し、実務も通達に沿って運用します。

また改正案によれば、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って「差し支えない」と表現されています。これらを持って判断するには少々暴論ですが、300万円以下でも事業になる可能性はゼロではないようです。

そもそも事業とは法令においてもあいまいな点があり、判例では「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう」(※)とされています。
国税庁『所得税法における「業務」の範囲について』より引用

改正案では「反証(真実でないことを立証すること)のない限り」ともありますので、自分の行う副業が事業であると立証できれば300万円以下でも認められるかもしれません。ただし、事業所得か雑所得か判断する際、「規模」はひとつの大きな目安になります。

そういった点では今回パブリックコメントによって「300万円」とはっきり事業所得の規模を示したことは大きな変化です。現段階では何ともあいまいで歯切れの悪い言い方しかできませんが、実際に制定され、運用が始まれば、自身で安易に判断することなく、税務署に確認して確定申告するべきでしょう。

会社員はどう手取りを増やせば良いのか

会社員はどうやって節税すれば良いのか。もしくはどうやって手取りを上げていくべきなのか。

今回のパブリックコメントに加え、2023年10月にはインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始。副業していても「消費税なんて自分には関係ないと」思っていた方も、事業実態によってはインボイス発行事業者になる可能性が出てきました。

2019年の働き方改革で国が副業を推進したかと思えば、税制面に関しては副業しやすい環境とは言い難く、憤りを感じている人もいるかもしれません。結局は「副業」や「節税」に縛られず、個々の状況に応じてできることを多角的にしていくしかなさそうです。

基本的なところではふるさと納税やiDeCo、NISAは手軽に始められるでしょう。お子さんを持つ人なら教育資金としてジュニアNISAも一案です。ジュニアNISAは2023年廃止予定のため、希望する人は急いで口座開設する必要があります。投資には元本割れリスクもありますが、iDeCoやNISA、ジュニアNISAは税制面で優遇があります。

また、両親と生計を一にしている場合は扶養控除の対象かもしれません。少ない年金収入のご夫婦の間で扶養に入れるより、より税率の高い子どもが親を扶養する方が得かもしれません。また、配偶者が未就業の場合、副業アルバイト等で世帯収入を増やそうとする時、会社員が100万円稼ぐよりも未就業の配偶者が100万円稼ぐ方が税制面でお得です。

収入を増やす、節税する方法はネット上でもたくさん紹介されていますが、税制面では今後も時代に合わせて制度が変わるでしょう。できる備えとして、その時々に応じて柔軟に対応できるよう、マネーリテラシーを身につけておきたいですね。

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