はじめに

「100%いい」企業なんて、存在しない

一方で、透明性が高まっている状況は、ブランドのチャンスにつながることばかりではありません。

どんなに多くの人から「いい企業だ」と思われていたとしても、必ずと言っていいほど、批判の声もあるのが、現代のブランドの難しいところです。

例えば、イーロン・マスク氏は、カリスマ経営者であり、世界をよき方向に導いてくれる信頼できる人に見えます。しかし、違う視点から見ると、不当労働行為を訴える従業員がいたり、「ほとんどの技術が買収してきたものであり、彼のアイデアではない」という痛烈な批判もあります。

つまり、「100%いい」会社なんて、存在しないと思った方がよさそうです。 「仕事ができる人」が同時に「困った人・ハラスメントを起こす人」であることなんてざらにあります。

当たり前かもしれませんが、人間にも、企業にもいろいろな側面があることを認識した上で、屹然とハラスメントには「NO」と言い、「どうしたらよくなるのか」を思考停止せずに考え、行動し続けることが重要です。

もちろん、過去の発言や行動を批判し、排除しようとする、安易なキャンセルカルチャーもよくないですが、ハラスメントがあること自体は、もっとよくないことだと思います。これは、本当に難しい問題ですが。

私が冒頭で「いい会社」の定義が難しいと述べたのも、この問題に関わります。

自分の胸に手を当てて、「私は100%正しい」と言える人がどれだけいるでしょうか。

とはいえ、「少しでもよくしていくこと」は絶対諦めてはならないことであり、ここを個人としても、ブランド・企業としてもどのように考えていくのか、これから大きな課題になっていくと思います。

ちなみに、「この複雑さ」に耐えきれず、ステルスマーケティングまがいのことをやったり、情報を隠したり、操作したりクチコミ自体を「買収」できないかと考えているような企業人もいます。

そういうのは本当に論外だと思います。基本的にはインフルエンサーや評判を「買う」という発想自体が危険だ、と思った方がいいし、間違っていると認識しましょう。

世の中には、自社に不利な書き込みやサイトを検索に引っかからないようにするための「逆SEO」なる手法があって、公然とそうしたサービスを「買っている」企業もあるわけですが、こういうのも、どこまで許されて、どこまで正当なものなのか、線引きが本当に難しいですよね。

とはいえ、ブランドや企業たるもの、高潔でいたいものです。

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